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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
3月に入ってから、世界中のあちらこちらで本格的なロードレースが開催されています。
個人的に今年の冬場には、「きっちり1時間で終わるシクロクロス」を見慣れてしまったせいか、視聴時間が3時間を超えるロードレースは「やはり長いなあ」と感じていたりもします。
しかも、職業柄出来るだけ多くのロードレースをレース中盤辺りから視聴し、更にテキスト情報もチェックしていくと、正直、その作業だけで普通に一日の大半の時間を消費できたりもします...。
要するに、寝る時間以外は全てをロードレースに捧げないといけない人生となるわけです。
「そんなの本望じゃないですか!」という声が聞こえてきそうですが、否定はしない一方で、やはり他にも仕事がたくさんあるのと、人間なので一日の中で少しだけ自転車のことを考えない時間が必要だったりもします。
ということで、前々回に引き続き「自転車レースの効率的な楽しみ方」を考察していきたいと思います。前々回は「視聴レースに優先度をつける」という観点でお話ししましたが、今回は「入口(推し)」という観点で考えてみます。
「推し」を設定する
本来、スポーツというのは「応援するチーム」や「応援する選手」、もしくは「好きなリーグ」といったように、各自がそのスポーツにアプローチするための「入口」が用意されているのが普通です。
例えばサッカーであれば、世界中のすべてのゲームをフルタイムでチェックし、すべてのチームや選手の動向を追うなんてことは、一部の熱狂的なファンや、サッカーを伝えることを職業としている方々以外はまずできないと思います。
しかし、自転車ロードレースの場合は、なんとなく「入口」というものがボヤけてしまっているため、「全レースを観ることが正義」といった空気が流れていたりもします。
例えば、
◯「グランツール(ジロ・ツール・ブエルタ)」を全ステージ観る
◯「モニュメント(サンレモ・ロンド・ルーベ・リエージュ・ロンバルディア)」をスタートからフィニッシュまで観戦する
といった、バリューの高いレースを中心とした視聴スタイルがあったとします。
しかし、これだけでも日数的にすでに68日間(1年の5分の1近く)に達してしまい、また、レースの中継時間も平均で3〜4時間と長いため、それなりに実生活に影響を及ぼす可能性がでてきてしまいます。
更に他のワールドツアーやプロシリーズ、そして国内コンテンツなども追ってしまうと、もはや実生活の中のなにかを削らないと対応できない物量に達してしまうことでしょう。
そこで、他のスポーツと同様に、「推しのチーム」「推しの選手」といった「入口」を敢えて設定することにより、優先度(メリハリ)が高まり時間の節約に繋がる可能性が生まれます。
◯このレースは推しのチーム(選手)が勝てそうだから気合いを入れて観る
◯推しの選手がリタイアしたからもうこのレースは結果だけ追う
◯とにかく石畳が好きだから石畳のレースだけは見逃さない
◯ヒルクライムレースに出場しているから山岳コースは必ず気合いを入れて観る
◯etc
意外と「チームを応援する」「選手を応援する」などの意識づけをせずにロードレース中継を楽しまれている方は少なくないと思いますので、一度、敢えて「推し」を設定してからレース中継を楽しむスタイルを取り入れてみると、今までと違った楽しみ方がみえてくるかもしれません。