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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
2014年にUCIワールドチームが共同で設立した企業体「Velon」が、「チームのチームによるチームのためのレース」ということで2017年にスタートした「ハンマーシリーズ」ですが、3シーズンに亘ってシリーズ戦を開催したものの、2020年はコロナ禍の影響もあってレースは開催されず、更に現状では2021年の開催も見送る方向となっています。
ハンマーシリーズが最初に日本で放映された時には、「弱虫ペダルのインターハイルールの様で面白い!」と話題になり、また「チーム戦」や「目に見える順番がそのままレースの順位」ということで、自転車ロードレースを知らない層にもわかりやく、世界的にも若い視聴者が多かったということで、自転車ロードレースの新しいビジネスモデルとして個人的もとても注目していました。
しかしその後、UCIからの度重なる牽制などが影響してか、思ったように発展していかず、若干尻すぼみ状態となりかけていたところに新型コロナウイルスパンデミックが直撃してしまった形です。
ということで今回は、チームがつくった新しい形のレースシリーズである「ハンマーシリーズ」がぶっちゃけどうだったのかを簡単に検証してみたいと思います。
レースとしての面白さは、上記に書いた様に、これまでの自転車ロードレースのマイナス面を改良していて、「短時間で、わかりやすく、エキサイティングに、勝敗が決まる」という部分は、特に若年層や伝統的な自転車ロードレースをあまり知らない層からは一定の評価を得ていたと思います。
一方、レースの面白さ自体が「展開」に大きく左右されてしまい、最終チームタイムトライアルのスタート前にある程度流れがみえてしまっているケースもあり、正直、あまり盛り上がらないレースも少なくなかった印象です。
また、応援の対象が選手個人ではなくチームとなるので、チームに対する思い入れ(地元チームであるなど)が無ければ感情移入しづらい部分がありました。
特に自転車ロードレースチームの場合、コロコロとチーム名が変わってしまう(更に選手の移籍も活発)ので、チームを継続的に応援していくというのが意外と難しかったりもします。
そして、肝心のチームへの経済効果という部分については、手元に正確なデータはないものの、見聞きした感じではあまり大きな成果を挙げられなかった感じでした。
他のリーグ型スポーツのビジネスモデルをお手本としてスタートした「ハンマーシリーズ」でしたが、現状では、他のスポーツに寄せたものの中途半端なレベル感に留まってしまい、逆にロードレースの特徴が削がれてしまうという結果となってしまっています。
もちろんまだまだ道半ばでしょうから、2022年以降の発展に期待したところですが、レース形態などはもう少しブラッシュアップしていくことが求められているようにも感じます。
個人的には伝説の「スカイウェブ」の興奮を再び味わいたいです!