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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
主幹調査役
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在はツアー・オブ・ジャパン大会ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。

2020年12月14日

他競技出身者の契約が目立つ今オフ

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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今オフはウインタースポーツ出身アスリートとロードレースプロチームとの契約が目立っています。

ちなみにウインタースポーツ出身者といえばやはりプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が思い浮かびます。

改めてログリッチの経歴を確認してみましょう。


2004年(15歳)から2011年(22歳)までスキーのジャンプ選手として活躍。
2007年(18歳)のジュニア世界選手権ではスロベニアチームとして団体優勝を飾る。
しかし、大きな怪我の影響もあってスキー競技を引退し、2012年(23歳)からロードレースに転向し、その後、2013年(24歳)〜2015年(26歳)の3シーズンを地元スロベニアのコンチネンタルチームで走る。
そして、2016年(27歳)から現ユンボ・ヴィズマと契約。現在に至る(2019年・2020年UCIワールドランキング1位)。


スキー選手時代からロードバイクでトレーニングをしていたとはいえ、24歳から本格的なレース活動をはじめてわずか4年で世界最高峰のUCIワールドチーム入りを果たしています。

ログリッチの事例が示していることは、フィジカルとセンスがあれば3〜4年という期間でワールドチーム入りができるということです。

ちなみに日本の新城幸也選手も本格的にロードレースをはじめて6年でツール・ド・フランスに到達しています。

そして、2021年シーズンに向けてUCIワールドチームのボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)とUCIプロチームのアンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)が契約を結んだ2選手は以下の通りです。


◯ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
Anton Palzer(ドイツ/27歳)
山岳スキー競技の世界的選手。ちなみに山岳スキーとはヨーロッパ発祥の競技で、山岳用スキーを駆って斜面を駆け抜け、滑り降り、急斜面では徒歩で高みを獲得する競技。国境警備隊の訓練から生まれたと言うだけあってかなりハードとのこと。パルツァは自転車ロードレースの経歴はなし。フィジカルテストではいくつかの並外れた数値を叩き出している。


◯アンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)
Martí Vigo(スペイン/22歳)
ピョンチャン冬季オリンピックスペイン代表(クロスカントリースキー)。ビゴの自転車ロードレース歴は1年(アマチュア)。フィジカルテストでは驚異的な数値を叩き出しているとのこと。


各チームともコロナ禍の財政難にある中ですが、敢えて未知数の他競技出身者と契約を結ぶのはいったいなぜなのでしょうか。

先日、当ブログで「近年若手の活躍が目立っている要因」について取り上げてみましたが、恐らくその内容と重なる部分が少なからずあるのだと感じています。


◯本場のトップ選手たちが若齢化している要因
・トレーニングプログラムの体系化(経験が必要なくなってきている)
・ポジションやフォームの体系化(経験が必要なくなってきている)
・レース戦略及び戦術の体系化(経験が必要なくなってきている)
・スポーツ医学の進歩と体系化(オーバートレーニングや怪我が少なくなってきている)
・ドーピングの排除(裏ネットワークが必要なくなってきている)
・総じてワールドチームの運営が体系化されたため若い選手が短期間で活躍するためのデータやノウハウが組織に蓄積されるようになってきている


要するに、ヨーロッパのトップチームに限っていうと、「自転車に長年乗ってトレーニングをし、たくさんのレースに出場して経験を積むことによって得られるアドバンテージ」というものが年々薄れてきているのだと思います。

そして、自転車ロードレースでの経歴がないということは、低い契約金で高い可能性を買うことができるので、コロナ禍に於いてはむしろ良い選択肢になっているのかもしれません。

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