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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
ここ数日、日本でも東京を中心に新型コロナウイルスの新規感染者数が増加傾向にあります(4月4日現在の累計感染者数は2,845名)。
国によって検査体制に違いがあるので、公表されている数字をどの様に捉えるべきなのかは判断に迷うところではありますが、一方で、指定感染症に指定されている以上は、新規感染者数が増えるということは、症状にかかわらず「感染症病床(全国に4,621床)」の使用率は上がっていってしまうことになります。
4月3日時点で、日本国内全体の感染症病床使用率は約50%となっています。このうち、東京、神奈川、京都、岐阜については、感染症病床使用率がすでに100%を超えてしまっている状況です...。
例えば、インフルエンザの陽性患者などは自宅待機が認められているので、仮にインフルエンザを罹っても、感染症病床を占有してしまうことはありません(国内の年間インフルエンザ感染者数は累計1,000万人ほど/死者数は間接的原因を含めると1万人ほど)。
しかし、新型コロナウイルスは、例え軽症者であっても、原則的に貴重な感染症病床を占有してしまうので、無症状者や軽症者の自宅待機が認められなければ、現状、全国に4,621床しかない感染症病床は間もなくいっぱいになってしまうことでしょう。
そんな中、厚労省は、新型コロナウイルス感染者が増加し、重症者に対する入院医療提供に支障が出る恐れがある場合には、軽症や無症状で重症化の恐れが小さい患者については、都道府県が用意する宿泊施設や自宅での療養を可能とする方向を打ち出しました。要するに医師が認めた患者についてはインフルエンザと同じ様に自宅待機が可能になるということです。
いま我々にできることは、まずは「新型コロナウイルスに罹らないこと」、そして、もしかすると自分が無症状の感染者であることを想定した上で「新型コロナウイルスを他人に移さないこと」にも注意を払わなくてはなりません。新型コロナウイルスはインフルエンザに比べて感染者のウイルス排出期間が比較的長いといった報告もあります(インフルエンザは発症後最長1週間ほど/新型コロナは最長30日以上)。
また、間接的な原因を含めると年間1万人の方が命を落とされているインフルエンザに比べて、新型コロナウイルスは重症者の病状悪化速度がはやく、致死率もインフルエンザよりも高いとされています。
今後、ワクチンや治療薬が完成し、更に集団免疫が少しずつ進んでいけば、いずれ現状の季節性インフルエンザと同じ扱いになるのでしょうが、それまではできるだけ多くの命を守るために、重症化しやすいひとに移さない、もしくは重症化したひとが有効な治療を迅速に受けられるように、ひとりひとりが社会的配慮を意識しつつ責任ある行動をしていかなくてはなりません。