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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。
スポーツ界では日ごとに新たなニュース(開催中止や延期など)が飛びだし、前日に書いたブログ記事があっという間に古くなってしまうという状況が続いております...。
こんな時こそ元気がでる記事を書くべきかなとも感じますが、一方でお気楽な記事を書く雰囲気でもなく、いつも以上に書く内容に苦労している状況だったりもします。
現状、業種によっては死活問題に直面している方々は少なくないと思います。
潤沢なキャッシュをベースに余裕を持って事業をまわしている会社などはごく少数であり、1ヶ月モノやカネの流れが止まれば資金繰りが悪化する事業というのは相当数あるものと思われます。
また、今回の様な未知のウイルス問題が景気サイクルの終期(経済が膨れ上がっている状態)で起きてしまうと、巻き戻しの動きがより激しいものになってしまうかもしれません。
スポーツ界に目を向けてみると、特に日本は五輪イヤーということで、平時よりもヒト、モノ、カネなどのリソースが大きく膨れ上がった状態にあり、この状態でもし五輪が開催中止となれば、間違いなくスーパーハードランディングに見舞われてしまうことになるでしょう...。
こういった状況に置かれた時にいつも感じることというのは、スポーツの「強さ」と「脆弱性」です。
「強さ」については人々に「夢や希望」を与えられる部分であり、コロナウイルス問題が一旦落ち着きさえすれば、スポーツ界が世の中を再始動させるためのエンジンになっていくのは間違いないと思います。
一方「脆弱性」については、こういった危機が起きた際の初動のタイミングでダイレクトに影響を受けてしまうところです。
スポーツというのは、「マズローの欲求5段階説(人間の5大欲求)」でみると最終段階(最上部)の「自己実現欲求」に該当するカテゴリーなのだと思います。
要するに、「生理的欲求」が満たされ→「安全欲求」が満たされ→「社会的欲求」が満たされ→「承認欲求」が満たされた先(成熟した世の中)にある需要だといえます。
但し、危機に直面した人間というのは「生理的欲求」や「安全欲求」に対して気が向いてしまうので、その様な状況になると「承認欲求」や「自己実現欲求」などの需要は確実に低下してしまいます...
すでにある程度の影響は避けられないところまで来てしまっていますが、いま世の中がどういった状態にあるのかを冷静に捉え、まずは危機的状況を乗り越えることに集中しつつ、その先に来るであろう「再始動」のタイミングに向けて準備をしていきたいと思います。