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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。

2019年11月11日

プロジェクトマネージメント

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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今週末は「J SPORTS」のロケで弾丸沖縄出張へ行ってきました。

最高峰カテゴリーの「チャンピオンレース(UCI-1.2)」では、宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手がラスト15kmを独走して自身3度目となる素晴らしい勝利を飾りました。

また、「ホビーレーサーの甲子園」と呼ばれている各市民カテゴリーも例年同様に大きな盛り上がりをみせ、各カテゴリーで「最強の市民レーサー」たちが勝利の雄叫びをあげていました。

国内選手たちは、2019年国内メジャー最終戦となる「ツール・ド・おきなわ」を戦い終え、ようやく長い長いシーズンを終えることになります。

目標が達成されたチーム・選手や、すでに来季の良い契約を獲得した選手などは、きっと前向きな気持ちでオフトレを開始することができるでしょう。

一方、そうではないチームや選手などは、相応の不安を抱えた状態で冬を過ごすことになるのかもしれません...。

しかし、人間というのはある程度の危機感を持っていた方が脳内物質が正常に分泌されて「良い活動」を獲得できる傾向を持つ生き物でもあるので、変に慢心してオフ入りするよりも、追い込まれた状態で冬を過ごす選手の方が結果的には良い未来を手に入れることができるかもしれません。

さて、そんな一つのシーズン(プロジェクト)が終了するタイミングではありますが、私自身は48歳を目前にしたこのタイミングで、かなり遅ればせながら「プロジェクトマネージメント」の本を読みはじめています。

「プロジェクト」というのは少し敷居の高い「行い」を表す言葉に感じますが、平たく言えば、「目標」と「期日」が決まっている全ての「行い」がプロジェクトに該当します。

「今夜のご飯の献立を考える」「明日までにブログを書く」「来週までに税金を納める」などなど、日常にある「目標」と「期日」が決まっている行動はある意味ですべてがプロジェクトであり、我々の人生というのは、大・中・小、様々なプロジェクトの集合体で出来上がっていると言っても良いでしょう。

まあ、ごくごく当たり前のことを書いているに過ぎないのかもしれませんが、ふと冷静考えてみると、世の中や身の回り、そして自分自身に関しても、このプロジェクトというのは、その殆どが「小」ばかりが存在していて、「小プロジェクト」の積み重ねの結果、ぼんやりとした「中プロジェクト」に向かうか向かわないかの状態となり、もはや「大プロジェクト」を真剣に考えている人というのは非常に少数で、大多数の人たちが「小プロジェクト」の積み重ねの結果で人生(事業)の大きな方向性が決まってしまっている状態にあるように感じます。

もちろん、質の良い「小プロジェクト」を実直に積み重ねていけば、意図せず大きな成果を得られることもあるでしょう。

しかし、大抵のプロジェクトというのは、「目標」と「期日」が設定されて初めて動き出すものであり、それらが定められていなければ、「怠けたいという本能を持っている人間」というのは、まずは目の前にある「楽」を選択するので、特に「大」プロジェクト的な方向へと大きな舵を切るのはまず無理だと感じます。

冒頭の話に戻りますが、2019年というシーズンは、「国内の各選手・各チームのリザルト=小プロジェクト」、「日本人選手全体の競技力=中プロジェクト」、「日本の自転車界全体の成果=大プロジェクト」というのはどの様な内容だったのでしょうか。

私の知る限り、殆どのひたちがそれぞれが抱える「小プロジェクト」の海の中に浮かんでおり、そこにあるタスクに忙殺されていて(もしくはしがみついていて)、明確な「中」及び「大」プロジェクトを設定して実行できている人はほぼ皆無な気がします。

私自身、これまでも事あるごとに、然るべき場所へ「大プロジェクト」の必要性とその概要を書いた「玉」を投げてきました。

しかし、「大プロジェクト」というのは、皆に嫌われているのか、はたまた必要がないと思われているのか、もしかすると既得権益者にとって何らか不利益をもたらすのかわかりませんが、とにかくことごとくノーリアクションな状態が続いています...。

自分の進め方が悪いのかな?と思い、プロジェクトマネージメントの本を読んだりするわけですが、そもそも周囲にいる自分よりも社会人歴が長いはずの多くの人たちがそういったスキルすら持っていないのが不思議だったりもします。

話は逸れますが、少し前に年金に関する報道で世の中がざわついたことがありました。この時私が驚いたのは、報道の内容ではなくて、その報道に世の中が驚いていることでした。

最終学歴中卒でしかもロクな人生設計をしておらず、後先考えずに自転車村で近視眼的に突っ走って生きているはずの自分でさえ、かなり昔に「年金の仕組み」と「90歳まで生きた際のコストとリスク」などを自分で調べてエクセルにまとめたことがあります。

時間にして2時間もあれば終わる作業であり、そこでなんとなくの人生のリスクというものが理解できたので、老後に3,000万円必要という報道がでてもそれはある意味で当たり前の数字であり、そのために貯金ができそうになければ「自分自身の労働力」という資産を長く使える様に健康に気を遣ったり、これから世の中がどう変化していくかを感じ取ってどういったスキルを身につけると長く収入が得られるかなどを考え、すぐに結果は出ないにしろ、日常で自分がやるべきことやその優先順位などをある程度導き出した上で、自分の夢や目標を持続可能な範囲で精一杯追い続けられるようにマネージメントするわけです。

しかし、あの報道の内容に驚く人たちが世の中にたくさんいるということは、自分が想像している以上に、「大プロジェクト」を設定する作業というのは困難なことなのかもしれません。

もしかすると、「皆が大プロジェクトを望んでいる」、「大プロジェクトが皆を幸せにする」という考え自体が私の独りよがりだったのでしょうか。

生物学、心理学、脳科学などを通じて人間という生き物を観察すると、結局は自分も含めて皆、いくつかの本能により日々の行動を生み出しているタダの生き物でしかないことがよくわかります。

そんな生物集団の中で大きなことをやろうとするには、どこかでなにかを割り切らないと(捨てないと)前に進めないこともみえてきます(感謝する気持ちだけは絶対に無くしたくないですが...)。

外野で好き勝手言っている(そういうビジネスモデルの)方が本質的には頭が良い生き方であるのは理解していますが、それでは結局のところ「お山(小プロジェクト)の大将」にしかなれないので、正しい取捨選択をしながら大きい未来を模索していきたいと思います。

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