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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
主幹調査役
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在はツアー・オブ・ジャパン大会ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。

2019年10月27日

真の経営者の育成

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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今週末は、さいたま新都心駅周辺で開催された「2019 ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」に行って参りました。

普段 J SPORTSで放送している海外レースというのは東京のスタジオで映像を受ける形での中継が殆どですが、国内で開催されるレースについては現場からの中継が多いため、レース現場の空気感などを実際に肌で感じることが可能となります。

そんな中、先週のジャパンカップからの流れで、折角世界のトップ選手たちを含めた多くの関係者が集結している貴重なタイミングなので、「日本人(平均的な選手)と世界(トップクラスの選手)との差」というのを改めて探りたいと思い、会場にいる選手や関係者などに様々な形で話を聞いてまわってみました。

当たり前ですが、立場や経験値などによってその答えには相応の違いがある一方で、根本的な部分については各者に大きな違いがないことなどもわかりました。

このブログでもたまに使うワードですが「総論賛成各論反対」という言葉があります。

全体的な目指す方向(総論)は皆一緒であり、特にそれに対しての反対意見などはないものの、いざそれを実現しようと思って具体的な行動を起こす段階になると、その方法(各論)に食い違いが生じ、ヒドイ時にはお互いの存在を否定するレベルの争いに発展するケースがあったりもします。

わかりやすく言うと、例えば「パリに行って美術館巡りをしましょう」という共通の目的があったとして、それを実現するためにまず「いつ」、「どのような手段で」、「どれくらいの期間」、「いくらくらいの予算をかけて」実現するのかを決めたい状況下で、なかなか具体的な方法が定まらず、そうこうしているうちに細かなすれ違いによって大きな亀裂が生じ、みんなパリには行きたいものの結局誰もパリには行けない状態が続いてしまう、という感じです。

また、目的(総論)を共有するステークホルダーが100人いた場合、現実問題として100人全員が同じタイミングで同条件でパリへ行くことは正直困難であり、「実際に行く人」と「お留守番(サポート)する人」を決める必要がでてくるかもしれません...(そんな不公平なことは受け入れられないと思う人が必ずでてくる)。

いまの国内自転車ロードレース界の現状というのは、正確にいうと「総論賛成」の総論すらハッキリと共有できておらず、「とりあえず西へ向かおう(いやおれは北がイイという人もいる状況...)」くらいな全体コンセンサスがある程度といえます。

各競技連盟、レース主催者、チーム、選手という、主要ステークホルダーが、それぞれ個別の価値観と方向性を持ってしまい、それぞれが独立して活動している状況が長きに亘り続いています。

先日、あるサイトで「日本は主要先進国のなかで中小企業が多くそれが生産性の低下を招いている」という記事を読みました。

私の目からみて、日本の自転車界と言うのは、まさに「中小企業の多い状況」に陥ってしまっているように感じます。

例え中小企業がたくさんあったとしても、仮にそれらの親会社に当たる様な存在があって、全体の方向性を一つにまとめることさえできれば、各中小企業同士が「1+1=2」の正常な関係となり、ベーシックな生産性を手に入れることは可能になるとも感じます。

いろいろな方々の話を聞いていて、それぞれが持つ持論(各論)には、それぞれの立場にあった裏付けがあることは理解できました。ある意味で個別にみると全て正解であり、だからこそ全体の方向性を一つにまとめることが難しくなってしまっているのかもしれません。

最近思うことは、勉強しただけでは、生身の人間(組織)をマネージメントすることはまず不可能だと思う一方で、経験や感覚だけで様々な価値観の人間が集まった巨大な組織をマネージメントすることも同様に不可能だということです。

選手たちが科学的なアプローチにより「運動生理学」や「栄養学」などを学び、その上で実際にトレーニングを行ったりレースに出場して経験を積み、時間をかけて一流になっていくのと同じ様に、いまの自転車界に必要なのは、高度な組織マネージメントの教育を受け、そして実際に生身の組織と人をまとめあげた経験があり、更に自転車競技の特殊な状況にある程度精通した人材の育成(獲得)だと感じます。

ハレーションを起こしやすい繊細な数多くのピースをうまく繋ぎ合わせて全体を創り上げることは決して簡単なことではありません。もしかしたら、すべてを壊してゼロからはじめた方がよっぽど早いのかもしれません...。

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