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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。

2019年07月17日

フランス国内テンション↓↓↓

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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「第106回 ツール・ド・フランス」は、大集団でのスプリントフィニッシュが予想されていたアルビにフィニッシュする第10ステージに於いて、今年のツール全体を決めてしまいかねない大事件が発生しました。

大事件と書くと若干大袈裟かもしれませんし、起こったこと自体は定番の「横風分断作戦」だったわけですが、その結果がとてつもない差を生み出してしまっています...

◯第10ステージ終了時個人総合時間順位
1位 ALAPHILIPPE Julian/Deceuninck - Quick Step
2位 THOMAS Geraint/Team INEOS +1m12s
3位 BERNAL Egan/Team INEOS +1m16s
4位 KRUIJSWIJK Steven /Team Jumbo-Visma +1m27s
5位 BUCHMANN Emanuel/BORA - Hansgrohe +1m45s
6位 MAS Enric/Deceuninck - Quick Step +1m46s
7位 YATES Adam/Mitchelton-Scott +1m47s
8位 QUINTANA Nairo/Movistar Team +2m04s
9位 MARTIN Dan/UAE-Team Emirates +2m09s
11位 PINOT Thibaut/Groupama - FDJ +2m33s
12位 KONRAD Patrick/BORA - Hansgrohe +2m46s
13位 URÁN Rigoberto/EF Education First +3m18s
14位 VALVERDE Alejandro/Movistar Team +3m18s
15位 BARDET Romain/AG2R La Mondiale +3m20s
16位 FUGLSANG Jakob/Astana Pro Team +3m22s
17位 BARGUIL Warren/Team Arkéa Samsic +3m26s
20位 PORTE Richie/Trek - Segafredo +3m59s
21位 LANDA Mikel/Movistar Team +4m15s
22位 MOLLEMA Bauke/Trek - Segafredo +4m25s
23位 GAUDU David/Groupama - FDJ +4m32s
25位 ARU Fabio/UAE-Team Emirates +5m57s

ここまで順調にことを進めてきたフランス期待のティボー・ピノ(フランス/グルッパマ・FDJ)は、この平坦ステージで1分40秒もの時間を失ってしまい、34年ぶりのフランス人によるツール制覇を期待していたフランス国民のテンションはダダ下がりとなっています...。

近年のツールは山岳ステージで大きなタイム差を奪うことは難しくなってきており、ライバルのアクシデント(バッドデイ含む)がない限り、このタイム差をひっくり返すことはかなり大変であるといえます(しかもイネオスはトーマスとベルナルの2枚体制)。

また、このあと金曜日にゲラント・トーマス(イギリス/チームイネオス)が得意としている個人タイムトライアルが控えているので、多くのクライマーたちはそこで更に30秒〜1分30秒ほどタイムを失うことが想定されています。

休息日にピノと共に記者会見を開いたグルッパマ・FDJのマルク・マディオ監督は次の様なコメントを残しました。

◯マディオ監督
「いまの状況をサッカーのチャンピオンズリーグ決勝戦に例えるならば、0-1でハーフタイムを迎えた状況に過ぎないんだ!まだなにも終わってないんだょ!」

記者団の前で声を荒げて発したこの言葉は、隣で若干こわばった表情をみせるピノを励ます意味合いもあったのでしょうが、一方SNS上ではマディオ監督のコメントに対して以下の様なツッコミもありました...。

◯ツッコミ
「チャンピオンズリーグ決勝戦で0-1でハーフタイムを迎えたというよりかは、むしろ決勝トーナメントのホーム戦を0-2で負けてアウェー戦に挑む感じだよね...」

う〜ん、的確なツッコミにも思えます...。実際はそれくらい劣勢に立たされてしまっているのは否めないところでしょう...。

正直、このままトラブルなく進めば、あとは守りのレースをすれば良いチームイネオスの総合ワンツーフィニッシュの可能性がそれなりに高まると言えます。

また、すでにここまでステージ4勝(TTT含む)を挙げているユンボ・ヴィズマは、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)がパリで総合表彰台(3位以内)に上がれば御の字のはずなので、彼らはあまり無茶をせずにコンサバに戦ってくるようにも思います。

一方、他のクライマーたちは金曜日のTTを終えると総合でトーマスから1分以上離される(ピノは2分30秒ほど?)形になると思うので、その後のピレネー&アルプスでは背水の陣的な戦い(リスクを取って早めに動く)を仕掛けなければならなくなります。

この動きが結果的に「チームイネオス vs その他(ユンボは除く)」という明確な対立構造を生むことになり、どこかでイネオスが弱みをみせることがあれば、一気につけ込まれて再び混沌とした状況へと変化していく可能性は十分にあります。

いずれにしても、「2枚の最強カード」を持つイネオスが非常に有利な状況を手に入れたのは間違い無く、ライバル勢は奇襲を含めた厳しい戦いを覚悟して後半戦に挑まなくてはなりません。

ということで、今夜の中継もお楽しみに!

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