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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
昨日、静岡県伊豆の国市にある「X BASE」に於いて、来季も「バーレーン・メリダ」での活動が決まっている日本のエース、新城幸也選手のファン交流イベントが開催されました。
今年の9月に34歳を迎えた新城選手ですが、さすが、その士気に陰りはまったくみえません。
2009年に「Bbox Bouygues Telekom」でプロデビューを果たして以来、10年間トップクラスでの活躍を続けている新城選手ですが、トークショーのなかでその強さの秘訣を改めていくつか知ることができました。
まずは、新城選手の10年間の軌跡を主要リザルトで振り返ってみたいと思います。
◯2018 Bahrain Merida Pro Cycling Team (WT)
ツール・ド・台湾 個人総合1位
アジア選手権チームロード 1位
◯2017 Bahrain Merida Pro Cycling Team (WT)
ツール・ド・フランス 出場
◯2016 Lampre - Merida (WT)
世界選手権ロードレース 35位
ブエルタ・ア・エスパーニャ 出場
リオ五輪ロードレース 27位
ツール・ド・フランス 出場
ツアー・オブ・ジャパン 伊豆ステージ1位
2月中旬に大腿骨骨折
アジア選手権ロードレース 2位
◯2015 Team Europcar (PCT)
ジャパンカップ 3位
世界選手権ロードレース 17位
ブエルタ・ア・エスパーニャ 出場
ブラバンツ・パイル 12位
パリ〜カマンベール 5位
◯2014 Team Europcar (WT)
ツール・ド・フランス 出場
ジロ・デ・イタリア 出場
アムステルダムゴールドレース 10位
ブラバンツ・パイル 12位
バスク1周 総合31位
◯2013 Team Europcar (PCT)
ツール・デュ・リムザン 総合2位
ツール・ド・フランス 出場
全日本選手権ロードレース 1位
ベルギーツアー 総合12位
アムステルダムゴールドレース 24位
◯2012 Team Europcar (PCT)
ツール・デュ・リムザン 総合1位
ツール・ド・フランス 出場
ルート・デュ・ シュッド 総合12位
リエージュ~バストーニュ~リエージュ 46位
◯2011 Team Europcar (PCT)
ヘント〜ウェヴェルヘム 28位
アジア選手権ロードレース 1位
◯2010 Bbox Bouygues Telecom (PCT)
パリ〜ツール 5位
世界選手権ロードレース 9位
ツール・ド・フランス 出場 ステージ6位
ジロ・デ・イタリア 出場 ステージ3位
◯2009 Bbox Bouygues Telekom (PT)
ツール・ド・フランス 出場 ステージ5位
ダンケルク4日間 総合9位
改めてリザルトを確認すると本当にすごい選手であることを再認識します。
そして、これまで出場した10回のグランツール(ジロ・デ・イタリア2回出場、ツール・ド・フランス6回出場、ブエルタ・ア・エスパーニャ2回出場)では、アシストをこなしながらすべて完走を果たすという偉業も成し遂げています。
冒頭、本日のトークショーのなかで「新城選手の強さの秘訣を知れた」と書いたのは、彼が、レースの走り方、トレーニング、フォーム、ポジション、食事などなど、選手が成長を続けていくために必要なすべての項目について、いわゆる「PDCA」を大小問わず無意識にずっとまわし続けていることがわかったからです。
自然体で科学的なトレーニングなどはあまり取り入れていない印象のある新城選手ですが、「自らの感覚」というセンサーをつかったセルフモニタリングの頻度と精度が極めて高いことがよく理解できました。
「テクノロジー機器」と「トレーナー」の代わりに、自らの「五感」と「探究心」を利用しているわけです。
恐らくこのことは、「自転車で強くなる」という項目だけでなく、世の中に存在する、進化が求められるすべての事柄に当てはまるように感じます。
トライ・アンド・エラーを続けることの重要性を新城選手から改めて教えられたトークショーでした。