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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
例年、残念なことではありますが、プロ選手たちの練習中の事故の報が世界中から伝わってきます...。
2016年1月には、前年に「ミラノ~サンレモ」と「パリ~ルーベ」という2つのモニュメントクラシックを制したジョン・デゲンコルブを含む当時の「ジャイアント・アルペシン」のライダー6名が、スペインでの合宿中に逆走してきたクルマと正面衝突し、全員が救急搬送されるという事故が発生しました。
2017年4月には、当時アスタナに所属していたミケーレ・スカルポーニが、地元での練習中に前方不注意のバンと正面衝突し、帰らぬ人となってしまうという痛ましい事故が発生してしまいました...。
そして、2018年1月には、南アフリカでトレーニング中だった「クイックステップ・フロアーズ」の3名が、後方から上がってきたトラックに跳ねられるという避けようのない事故が発生しました。
「練習中の交通事故」という言葉は、正直、他のスポーツではあまり聞く事のないワードだと思います。
もちろん「練習中の怪我」というのはたくさんあるでしょうが、「練習中の交通事故による怪我」というのは、普通に考えると他のスポーツではあり得ないシチュエーションだといえます。
これまで「自転車ロードレース」というスポーツに30年以上関わってきたわけですが、正直、ヨーロッパで100年以上の歴史を誇るこのスポーツが持つ「矛盾」というものを痛感する瞬間は決して少なくありません...。
「ヨーロッパではこれが当たり前なんだ」
私自身も現役時代はこの表現を口にしたことが何度もありましたが、しかし、この「当たり前」という言葉が、本当に「当たり前」でよいのかについて、改めて考え直さないといけない気がします。
すぐになにかを解決できるわけではありませんが、「練習中の交通事故」というシチュエーションは、本来スポーツにあってはならない状況であるのは間違いありません。