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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
ここ数年、自分自身が直接関わった案件、更に、直接関わらずとも近いところで動いていた案件なども含めると、かなりの数のプロジェクトが周囲で企画されてきました。
プロジェクトによって、『企画書だけ作られたもの』、『それなりに動いたけどスタートに至らなかったもの』、『スタートしたものの目標や期待に届いていないもの』、『スタートしたがすでに消滅したもの』などなど、案件ごとにその行く末は様々な表情をみせています。
ところで、そもそも 『企画の集合体』 ともいえる会社組織(中小企業)というのは、スタート後どれくらいの数が活動を継続できているのでしょうか。
あるデータによると、設立届けを提出してから5年以内にその数は15%以下に減り、10年後には6%、そして20年後には1%未満まで淘汰されるといいます。
ということは、20年続く中小企業というのは非常に珍しい存在であることがわかります。
一方、設立後わずか5年後の存続率14.8%というのもなんとなく驚きの数字です。
会社組織ですらこれだけ殆どが日の目を見ずに淘汰されていくわけですから、その会社のなかで企画されたプロジェクト単体の存続率というのはいったいどれくらい低くなってしまうのでしょうか。
以前、有名なベンチャー企業の経営者が 『プロジェクトは100個トライして一つ当たれば万々歳』 といったことを語っていたのを思い出します。
たしかに非常に速いスピード感と判断力を求められる 『時代の先端』 でビジネスを展開するような企業ほど、そういった感覚を身につけていないと逆に生き残っていけないのかもしれません。
しかし、一方で感じることというのは、『一度やると決めたことをとことんやり続ける』 ことの大切さです。
先に書いたようなベンチャー企業というのは、『100個トライして一つ当てる』 というような一見軽い思想で動いているようにもみえますが、しかし、少し俯瞰した目で見てみると、彼らは 『トライを続ける』 という大命題についてはブレずに芯を持って貫き通しているともいえます。
その様な観点でみてみると、『ある壮大な目的を持った人間』 が、トライ・アンド・エラーの結果、いくつかの会社を創っては潰してしまっている状況でも、その挑戦を続けているうちは本質的な挫折ではないのかもしれません。
大切なのは、『なぜそれをするのか?究極的にどこへ向かいなにを成し遂げたいのか?』 をハッキリさせ、その中で企画する取り組みについては、良い企画であれば継続させ、なにかが間違っているのであれば、改善・休止・中止などの判断を早急に行うことが重要なのだと感じます。
『企画』・『スタート』・『継続(改善)』 の3つの項目のなかで、最も大変なのは間違いなく『継続』 だと思います。
人生の時間というのはとても限られています。
45歳にもなると、そろそろなんとなく遠くの方に 『ゴール地点』 がうっすらと見えはじめて来る気がしてきます。
『継続』 するための貴重な時間も一日一日カウントダウンがはじまっているわけですから、正直、いろんな焦りが生まれはじめてきました。
自分独りの力で、自分が動ける時間軸だけで、目指しているものを創りあげることは正直難しいと感じています。
しかし、その目標と方向性、そしてそこに向かい続ける 『信念』 というシステムを創り、次世代に残すことができれば、いつか必ず想いは形になるはずです。
『信念を持ち、前を向いて行動を続けていることに価値がある』 と信じることが、物事の本質的な進め方なのかもしれません。