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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
ドーピング問題で揺れるアスタナにまたもや新たなニュースが飛び込んできました。
『ランス・アームストロング アフェア』で一躍有名になったイタリア人医師ミケーレ・フェラーリ氏が、2013年11月にイタリアのトスカーナ州で行われていたアスタナキャンプでチーム関係者と接触していたころを捜査当局に撮影されていたというのです(本人は否定)。
フェラーリ医師は、既にイタリアとアメリカの当局から事実上の永久追放処分を課せられている要注意人物であり、各チームはいかなる理由があっても彼をチーム関係者や選手に近づけないようにしているはずです。
アスタナGMのヴィノクロフ氏や、今季からアスタナに加わったミケーレ・スカルポーニなど、過去にフェラーリ医師から直接指導を受けた人間がアスタナチーム内にいるのは周知の事実とはいえ、『元気っすか?』と彼が気軽に挨拶に来ることなど許されないのは当然みな理解しているでしょう。
逆に考えると、もし何らかの意図を持ってフェラーリ医師がアスタナチームと接触する場合、彼の姿がチーム周辺で目撃されることに対してはかなり神経質になるはずです。
そんな状況下で、本当にフェラーリ医師の姿がキャンプ中に目撃されていたならば、アスタナチームとしてなんらかの関与があったと疑われても仕方がないところともいえます(更にデベロップメントチームも含めて立て続けに5件の違反者がでているので...)。
全体的にはクリーンになってきていると認識されているレース界ですが、未だにスキャンダルがくすぶり続けるのはいったい何故なのでしょうか?
ドイツでは全てのスポーツを対象に、プロ選手が禁止薬物を使用したり所有したりした場合に最高3年の懲役刑を科すとの法案が検討されているとのこと。
これに対して、WADAのリーディー会長は『選手はスポーツのルールで罰せられるべき』と懲役刑には反対の立場を示しいると報道されています...
一方、ここ数年相次ぐエース級の選手のEPO陽性に揺れていたイエローフルオは、MPCCから1年間の資格停止処分を言い渡されました(とはいえ、あくまでMPCCへの登録に関してですが...)。
結局のところ、個人には人生が大きく狂うような処罰を(悪質な禁止薬物使用者に対しては)、そしてチームに対しても活動機会を根本から奪う様な厳しいルールを適用しなくては大きな変化は生まれない気がします。
アスタナは昨年、MPCCに加盟しているにも関わらずペリッツォッティの獲得に動き(結局は断念)、今季は各チームが積極的な獲得を躊躇っていたL.L.サンチェスとの契約を発表しました。
グレーな選手を積極的に雇用するチームがあり、そんなチームがビッグレースに普通に出場できているうちは、今回の様な報道は続いていくのでしょう。