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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。

栗村修の日常 2014年09月14日

終わらない…

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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立て続けにドーピング陽性のニュースが入ってきました。

しかも、ここ数年ドーピング陽性のニュースの質が変わりはじめてきたなあと思っていた矢先に、今更感のある 『EPO陽性』 という内容です…

ヴァレンティン・イグリンスキー(アスタナ)

マッテオ・ラボッティーニ(ネッリ・ソットーリ)

『ドーピング陽性のニュースの質が変わりはじめてきたなあ…』 と書いたのは、例えば昨年のジャパンカップで陽性反応がでたロジャース(ティンコフ・サクソ/減量作用や気管支拡張作用があるクレンブテロール)や、今年ニュースになっていた、インピー(オリカ・グリーンエッジ/隠蔽薬のプロベネシド)、ウリッシ(ランプレ・メリダ/気管支拡張作用があるサルブタモール)などについては、それぞれ陽性反応がでたものの、その後意図的ではなかったことが認められたり、手続き上のミスが要因(医師の許可が降りて然るべき手続きを踏めば使用可能な薬品もある)だったと判断されて、正式な謹慎処分は下されずに暫定停止処分から早々に復帰するというパターンが多くなっていたからです。

もちろん、上記内容はトップ選手に限った傾向であり、バイオロジカルパスポートの導入義務のないコンチネンタルチーム以下の環境では意図的な能力向上薬品の使用は引き続き大きな問題となってはいます…

また、新しい流れとしては、バイオロジカルパスポート上の過去の不審な変動値をそのまま陽性反応とみなす裁定が下り、既に引退している(実際は逃げるように引退していった)メンショフや、ティンコフ・サクソに所属するクロイツィゲルが処分(クロイツィゲルは暫定的な出場停止)を受けるというニュースも流れていました。

但し、トップクラスのプロトン全体では“クリーン化”が進んでいるのは間違いなく、良い流れが継続していると実感していました…

しかしここにきて、今年のツールを制したアスタナの選手から一人(V・イグリンスキーはツールには出場していない)、そして、昨年のジロでディルーカとサンタンブロージョ(当時はヴィーニファンティーニ)から陽性反応(サンタンブロージョは実際には陽性確定はしていないが関係者の捉え方はほぼ黒)がでて大問題となっていたネッリ・ソットーリのエース格の選手から一人、近年のドーピング薬の代表的な存在と言っていい“EPO”陽性が発表されました(実際にはまだAサンプルのみ)。

アスタナは歴史的にドーピング関連のニュースが非常に多いチームであり、今年のツールでもニバリがその“過去のキズ”の尻拭いをさせられているシーンが多々見受けられましたが、ニバリ自身はクリーンなイメージを持つ近代選手の一人です。

にも関わらず、今回、V・イグリンスキーの陽性反応がでたのは非常に懸念されるところでしょう。
(アスタナは元々グレーな選手の雇用に寛容なところがあります)

そして昨シーズン、チーム解散直前まで追い込まれながらも、なんとか信用を取り戻して今年のジロにお情けで呼んでもらっていたネッリ・ソットーリから、またとしてもEPO陽性がでてしまいました。しかも、エース格の選手から…

ラボッティーニは、今年の世界選手権のイタリア代表メンバー候補にも挙がっていた実力者であり、その彼からEPO陽性がでたことはとても重い現実を示しているように感じます。

ルカ・シントのチームは、これで本当にジ・エンドとなるのでしょうか?

それともまたまた寛容なイタリア自転車界からお許しをもらい、来年のジロにも出場してしまうのでしょうか?

意図的に能力向上薬品を使用した選手の永久追放を望みます。

そしてその様な選手を雇っていたチームや管理者にも相応のペナルティを望みます。

クリーンかつフェアな戦いを望むチーム関係者として切実にそう思いますし、また、レース主催者としてもその様なチームを呼ばなくて済むルール作りをUCIに進めて欲しいと強く願います。
(現状のルールでは怪しいのがわかっていても強制的に招待しなければいけない“逆ルール”が存在している…)

いくら自分たちが努力を続けても、これらの選手たちのエゴで全てが吹っ飛ぶリスクがあり、抜本的な対策が望まれるところです。

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