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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
UCI(国際自転車競技連合)の2012年の財政状況に関するニュースが流れていました。
収入は4100万CHF(約43億8700万円)。
(ちなみにASOはツール・ド・フランス1回で約120億円の収入があるらしい…)
純利益は920万CHF(約9億8440万円)。
この金額はここ数年に比べて大幅に良い数字とのことで、その理由はロンドンオリンピックのマーケティングやテレビ放映権のUCIシェア分が大きく影響したようです。
通常の純損益は、▲4億円〜△約3000万円ほどで、オリンピックイヤーに比較的大きな黒字を出すという構造のようです。
一番大きなコストは人件費で、2012年は690万CHF(約7億3830万円)だったとのこと。
現在のUCIのバランスシート上では、昨年末で1700万CHF(約18億1900万円)の負債があるようですが、単年で10億円前後の純利益を出せる状況を考えれば相対的にはある程度健全な財政状況といえるようです。
そしてもう一つ前向きなニュースが入ってきました。
来季、イタリアのチームと合併するチームNIPPOが、コンチネンタルチームとしては異例となる 『バイオロジカルパスポート』 をチームとして導入するというニュースです。
もっとも、チームNIPPOが合併する 『ヴィーニファンティーニ社』 については、今年のジロで ディルーカ と サンタンブロージオ(後にBサンプル陰性とのニュースが流れた) がEPO陽性となって世界的に大きなイメージダウンを負ってしまったスポンサー企業であったり、また、もう一つのスポンサーである 『ダンジェロアンティヌッチ社』 についても、2011年にチームから陽性者を出していたり、ドーピング謹慎明けの選手を積極的に雇用してきた経緯があるので、チームや企業のイメージ回復手段としては当然取り組まなくてはいけない状況だったのだと思います。
これら、本場欧州であまり良いイメージを持たれていない企業と敢えてタッグを組んで積極的にイメージ回復を計り、そこに有望な日本人選手送り込むというチャレンジはある意味でいばらの道となる可能性がありますが、まだまだチームレベルでのアンチドーピング活動が活発ではないイタリアに於いてこの様な取り組みを行うことはとても前向きなことだと感じています。
国内に於いても、各連盟のドーピング対策が完全に後手にまわってしまっているので、チーム任意でのドーピング監視プログラムの設置など、積極的な取り組みを進めていく必要があります。
経費や手間がかなりかかることではありますが、コンチネンタルチームレベルでの 『バイオロジカルパスポート』 の導入についても、UCI主導でなるべく早い時期にルールとして定めて欲しいと感じます。