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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
クラシックの王様 『ロンド・ファン・フラーンデレン(3/31 ベルギー)』 。
クラシックの女王 『パリ〜ルーベ(4/7 フランス)』 。
北のクラシックの頂点に君臨するこの2レースに向けた戦いが白熱しています。
本日、UCI World Tour 第6戦となる 『E3 ハーレルベーケ』 がベルギーで開催され、ファビアン・カンチェラーラ(レディオシャック)が圧倒的な力をみせつけて独走で優勝を飾りました。
このレースは 『ロンド・ファン・フラーンデレン』 の前哨戦といわれている重要なレースで、2つのレースのリザルトには高い相関性がみてとれます。
昨シーズン、『E3 ハーレルベーケ』 でメカトラブルに見舞わて勝利を逃したカンチェラーラは、続く 『ヘント〜ウェベルヘム』 を無難に消化して本番となる 『ロンド・ファン・フラーンデレン』 に挑んだものの、レース途中で落車して鎖骨を骨折、そのままリタイアとなって翌週の 『パリ〜ルーベ』 も棒に振るという最悪のシーズン序盤戦を経験しました。
一方、カンチェラーラのライバルであるトム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ)は上記の4レースを全て制するという偉業を成し遂げて、まさに対照的なリザルトを勝ち取っています。
そのボーネンですが、今年は冬に行った肘の手術の影響でここまでスロー調整となっており、本日のレースでも本来の強さを発揮できないまま後方集団でのゴールとなりました。
一先ず週末の 『ヘント〜ウェベルヘム』 を見てみないとなんともいえませんが、カンチェラーラのコンディションは既にベストに近い状態まで仕上がっており、ロンド&パリルーベの優勝候補最右翼に踊りでたといっていいでしょう。
しかし注意しなくてはいけない要素もあります。
実はカンチェラーラは2011年シーズンも圧倒的な力を見せ付けてこの 『E3 ハーレルベーケ』 で勝利を挙げています。
前年の2010年シーズンに“モーター疑惑”が生まれるほどの驚異的なパワーでロンド&パリルーベを制していたカンチェラーラは全チームから徹底的にマークされる存在となってしまい、明らかに実力ナンバーワンだったにも関わらず両レースとも展開の罠にはまって勝利を逃す結果となってしまいました。
調整が遅れているとはいえ、ロンドで3回、パリルーベで4回の優勝経験を持つトム・ボーネンの存在感は変わらず健在でしょう。
その他、怪童ペテル・サガン(キャノンデール)も更に強さを増しており、『ミラノ〜サンレモ』 と 『E3 ハーレルベーケ』 で共に2位のリザルトを残しています。
現状、カンチェラーラが頭一つ抜き出た感はありますが、北のクラシック本番に向けた戦いは日に日にボルテージを増しています