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小集団スプリント勝負でもタデイ・ポガチャル
スポレートからプラティ・ディ・ティーヴォまで少し短め152km、獲得標高3850mの難関山岳ステージ。オフィシャルスタートが切られると無印峠の勾配を利用した逃げ切り勝利狙いの選手が飛び出しては集団に追いつかれ、有力選手が前線で目立つ動きをしている。無印峠を下り2級山岳の上りで14選手での先頭グループが形成された。メンバーにはジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)、ロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)も含まれている。2級山頂は、シモン・ゲシュケ(コフィディス)が先頭通過、14人は分断と合流を繰り返しながら中間スプリントポイントはマルティン・マルチェルージ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)、インテルジロはバルデ、3級山岳はゲシュケが先頭通過している。
メイン集団はUAEチームエミレーツのコントロールで最大タイム差は2分半、最終峠1級プラティ・ディ・ティーヴォへは35秒のタイム差で突入。先頭グループではマグナス・シェフィールド(イネオス・グレナディアーズ)マイケル・ストーラー(チューダープロサイクリングチーム)、ヴァランタン・パレパントル(デカトロン・アージェードゥーゼールラモンディアル)の3人が飛び出し先行。アレッサンドロ・デマルキ(ジェイコ・アルウラー)やアラフィリップは早々に踏みやめメイン集団に吸収されていった。
諦めない意思を見せたのはパレパントル、中間スプリントポイントを先頭通過し残り距離4.3kmで吸収されるまで単独でペダルを踏み続けていた。ラファウ・マイカ(UAEチームエミレーツ)の牽引で山頂を目指す14人のマリアローザ・グループ、いつ鉄槌が振り下ろされるのかと緊迫した状況は続き、残り距離2kmでアントニオ・ティベーリ(バーレーン・ヴィクトリアス)がアタック。一番最初にチェックするのはタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)、勾配が緩いため全員がついていく。ポガチャルは自ら攻撃には出ず、様子をうかがっている。テイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ)やストーラーがアタックするもこう着状態のまま。
マイカが再びポガチャルを牽引しラスト200mでダニエル・マルティネス(ボーラ・ハンスグローエ)とポガチャルがスプリントを開始。先頭に出たポガチャルはそのままガッツポーズでフィニッシュラインを越えた。キアン・アイデブルックス(ヴィスマ・リースアバイク)は2秒遅れでフィニッシュ、マリア・ビアンカ着用のルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー)は最終登坂で遅れたためヤングライダー賞首位の座を1日で奪還している。
「チームがいいタイム差で上りに入ってくれた、みんなの働きのおかげ、マイカが助けてスプリントまでお膳立てしてくれた」ポガチャル、ステージ勝利後インタビュー
J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTubeチャンネル
【ハイライト】ジロ・デ・イタリア 第8ステージ|Cycle*2024
ステージ順位
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)in 4h 02' 16''
2 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ),,
3 ベン・オコーナー(オーストラリア/デカトロン・AG2Rラモンディアル),,
4 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 00' 02''
5 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ),,
6 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア/モビスター),,
7 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク),,
8 テイメン・アレンスマン(オランダ/イネオス・グレナディアーズ)+ 00' 11''
9 マイケル・ストーラー(オーストラリア/チューダープロサイクリングチーム)+ 00' 13''
10 アレックス・ボーダン(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 00' 21''
個人総合順位
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)in 28h 14' 42''
2 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ)+ 02' 40''
3 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)+ 02' 58''
4 ベン・オコーナー(オーストラリア/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 03' 39''
5 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク)+ 04' 02''
6 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 04' 23''
7 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア/アスタナカザクスタン)+ 05' 15''
8 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア/モビスター)+ 05' 28''
9 テイメン・アレンスマン(オランダ/イネオス・グレナディアーズ)+ 05' 30''
10 ヤン・ヒルト(チェコ/スーダル・クイックステップ)+ 05' 53''
ポイント賞
1 ジョナサン・ミラン(イタリア/リドル・トレック)134 Pts
2 カーデン・グローブス(オーストラリア/アルペシン・ドゥクーニンク)97 Pts
3 ティム・メルリール(ベルギー/スーダル・クイックステップ)89 Pts
山岳賞
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)104 Pts
2 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ)52 Pts
3 シモン・ゲシュケ(ドイツ/コフィディス)36 Pts
ヤングライダー賞
1 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク)in 28h 18' 44''
2 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 00' 21''
3 テイメン・アレンスマン(オランダ/イネオス・グレナディアーズ)+ 01' 28''
チーム総合順位
1 デカトロン・AG2Rラモンディアル(フランス)in 85h 03' 12''
2 イネオス・グレナディアーズ(イギリス)+ 01' 20''
3 アスタナカザクスタン(カザフスタン)+ 09' 23''
リタイア
171 クリストフ・ラポルト(フランス/ヴィスマ・リースアバイク)
コースマップ
5月12日(日) 第9ステージ
アヴェッツァーノ > ナポリ
214 km(丘陵 ★★★☆☆/獲得標高 1300 m)
ナポリステージの長い伝統に則って最強スプリンターは輝けるのか
グランツール1週目を締めくくる日曜日には、通常であれば総合争いを大きく左右するステージが執り行われるものだけれど、2024年ジロはそんな慣例を破った。代わりに勝者の予想しにくいステージが用意された。1回目の休息日を翌日に控え、誰にでも全力を尽くす価値はある。
もしかしたら大逃げが決まるかもしれないし、終盤のアタックが実るかもしれない。スプリンターが生き残る可能性だって十分にある。今大会初の200km超ステージの、序盤170kmは、地形的にはひどく退屈だ。アペニン山脈の麓アヴェッツァーノからティレニア海に向けて南下する道には、トンネルは多いけれど、目立つ難所は存在しない。ひとたび海岸線に出てからも、道はいたって直線かつ平坦。
最終盤の40km、ナポリ湾に突き出すフレグレア半島に足を踏み入れると、いよいよ道は面白くなる。4級山岳モンテ・ディ・プロチダ(登坂距離4.1km、平均勾配3.8%、最大9%)を皮切りに、ルクリーノ湖畔の14%の壁に、プッツォーリの急坂、さらにはナポリ突入直前に待ち受ける小さなでっぱり。トーマス・デヘントが巧みな逃げ切り勝利を収めた2022年大会第8ステージでも、ほぼ同じコースを通過している。
ただ2年前はこのミニ起伏シリーズを3回こなし、その後さらに別の起伏も巡ったが、今回は1セットのみ。すると上れる俊足なら、十分に食らいついて行けるはずだ。フィニッシュ手前7kmで最後の起伏を終えたら、あとは下りと、平坦路のみ。特にラスト3kmは完全にフラットだから、マッパテッラビーチのフィナーレでは、結局はナポリステージの長い伝統に則って、最強スプリンターが輝くのかもしれない。
コースプロフィール
ステージ詳細テキスト:宮本あさか
J SPORTS 編集部
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