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【クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ 第8ステージ:レビュー】仮想ツール制したリッチー・ポート「ツールに十分匹敵する勝利。次は僕がGやテイオをサポートする番だ」
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介さらに、直後の下りでは総合タイム差17秒で追うアレクセイ・ルツェンコが仕掛けた。同様に下りを得意とするヨン・イサギレとのコンビプレーでグングンと加速する。これをトーマスが抑えに走るが、肝心のポートは「ここのダウンヒルは何度も経験していて、下り方は熟知していた」という割にはどうにも付ききれない。セーフティーを選択したとはいえ、あまりに慎重に下りすぎた。
この状況に追い打ちをかけるように、ルツェンコをチェックしていたトーマスが落車。素早くバイクに戻ったとはいえ、局面は下りである。完全にスピードに乗ったルツェンコたちをポートは自ら追いかける必要に迫られた。
しかし、そんな時こそ結束力が高まるのが一大勢力の強みである。
ポートを支えるイネオスの選手たち
「周りにオーストラリア人ライダーが数人いたことがプラスに働いた。ジャック(ヘイグ)は終始僕を助けてくれていたし、ベン(オコーナー)は下りで前(ルツェンコたち)との差を詰めてくれたんだ」(ポート)
もちろん、マイヨ・ジョーヌを争うライバルだけど、後ろに取り残されかけた者同士で利害が一致していた。それも同胞で。
「最後の6kmは理想的ではなかった」というように、単騎になったポートを出し抜こうと、次々とアタックがかかった。何度も自らがチェックに走ったが、耐えているうちに牽制状態となり、さらには傷を抱えながらトーマスが戻ってきた。さすがはツール覇者である。最後はその走りと存在感で総合勢ひしめくグループをまとめ上げ、ポートの大会制覇をお膳立てした。
「ただただ素晴らしい。いつかはこのレースに勝ちたいと思っていた。妻と幼い2人の子供から離れて過ごした時間が報われた。本当に価値ある勝利だ」(ポート)
36歳まだまだ健在をアピール。そして向かうはツール・ド・フランスである。さて、こうなってくると話はまたしても例の方向へと進んでいく。そう、「イネオス誰がリーダーか論争」である…。そんな周囲の見方を予測してか、はたまた本心か、ポートの一言が“ひとまず”の答えである。
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