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【パリ~ニース 第7ステージ:レビュー】チームのために、己のために、容赦無く勝利を掴み取ったログリッチ「誰もが勝ちたいと願っていて、それを成功させるためには最強でなきゃならない」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「表彰台でテレマークを決められるのは、何度だって素敵なことさ!最高の形でシーズンを始められた。昨シーズンを好調に終えたのと同じやり方で、スタートを切ることができた。すごくハッピーだし、僕にとって初めてのパリ〜ニースを楽しんでいるよ」(ログリッチ)
フィニッシュ脇では子供たちがスキーやそり遊びに興じる、そんな不思議な空間の中で、他の選手たちの見せた表情は様々だった。ログリッチに最終的に置き去りにされたとは言え、シャフマンは笑みが止まらなかった。「難関山岳でラスト1kmになっても脚が痛くなかったのは初体験!これは僕にとって勝利に等しい。今後の励みになる」と興奮状態で語った。エリッソンドは「マーダーが勝つべきだった」と少々渋い表情。「あまりにも強いチームに守られている彼は、他の誰も必要としていないし、だからギフトも贈らない」との持論も展開した。
そして敢闘賞で自分を納得させるしかなかったマーダーは、「たったの20m!」と少々自虐的に何度も繰り返した。
ラスト20mでマーダーを抜き去ったログリッチ
「追い抜かれた瞬間は、『くそっ、僕の勝利のはずだ』って思ったさ。あと20mのところまで来て、飛行機が横をすり抜けて行ったら、そりゃあむなしい気分になるよね。でも改めて考えると、満足すべきなのかもしれない。こうして前を走り、勝利を争えたことは、素敵な経験だったのだから」(マーダー)
7勝中3勝を手にしたログリッチは、最終第8ステージを前に、総合2位以下に52秒のリードを有する。ボーナスタイム制度がなければ8秒ビハインドで総合2位だったはずの2020年ブエルタとは異なり、たとえボーナスタイム33秒を抜いても、2位シャフマン(ボーナスタイム14秒)を33秒上回っていることに変わりはない。過去の失敗を教訓に変え、どうやらログリッチはさらに強く進化しつつある。
果たしてパリ〜ニース特有のドンパチには、どう対処するのだろう。急なコース変更で、おそらく大会史上初めてニースに一歩も足を踏み入れない2021年パリ〜ニース最終日は、起伏だらけの周回コースが用意されている。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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