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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】三つ巴のマイヨ・ヴェール争奪戦に「王手」をかけたサム・ベネット「ライバルたちがあまりに強すぎて、僕はこうするしかないんだ」 / 第19ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかセーアン・クラーウアナスン
「僕の任務は、タイミングを見計らってアタックすること。ニキアスの方は、もしものスプリントフィニッシュに備えて、脚を温存しておくことになっていた。そしてトレンティンが鋭いアタックを放った後、今こそ行く時だ、と察知した」(クラーウアナスン)
クラーウアナスンは賢くその隙を突いた。一気に駆け出して行ったデンマーク人の背後で、サガンはおろか、他のチームさえも動かなかった。果たして誰が追うべきなのか。きっと誰かが動くはずだ。そんな思惑が、おそらく集団内で交差したはずだ。それでも一拍開けてデヴェナインスとバウワーが追いかけーーすなわち2人送り込んだ4チームは全部動いたーー、それでも、できた穴をもう2度と埋めることはできなかった。
1週間前はラスト3kmを独走したが、この日のクラーウアナスンは16kmを突っ走った。下りはテクニカルに突っ込み、上りはペダルを踏む脚に力を込めた。タイム差は距離を重ねるごとに開いていき、残り5kmでは1分差にまで達した。
「レースオートバイに向かって叫んだのは、タイム差を知るため。1分差だと教えられた。でもチームカーからは30〜40秒と聞かされていたから、1分も差があるとは信じられなかったんだ。本当はどれだけのリードがあるのか、どうしても確信できなかった。ライン目掛けてスプリントする必要があるのかどうかさえ、分からなかった。だからもう1度、バイクの運転手にタイム差を聞いた。そしたら、『1分ある。君の勝ちだ!』と改めて言われたんだ」(クラーウアナスン)
おかげでたっぷり喜びを噛みしめつつ、フィニッシュラインを越えることができた。今大会2勝目を手にしたのは、ワウト・ファンアールト、タデイ・ポガチャル、カレブ・ユアンに続く5人目。また連日積極的な走りを披露するサンウェブは、ユンボ・ヴィスマ、UAEチームエミレーツに並ぶ3勝目を手に入れた。ちなみに2018年にパリ〜トゥールで初のクラシック勝利を得たクラーウアナスンは、ツール後は世界選にはあえて向かわず、「クラシックに100%を注ぐつもり」とのこと。
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