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サイクル ロードレース コラム 2020年8月18日

【クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ:レビュー】ベルナルもログリッチも途中棄権。頂点に君臨したのはコロンビアの新星ダニエル・マルティネス!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ダニエル・マルティネ

総合優勝のダニエル・マルティネ

ベテランの先輩とは異なり、現役ツールチャンピオンは、復帰戦ルート・ドキシタニー総合制覇で好調にシーズンを再開している。ツール・ド・ランではログリッチとの直接対決に敗れて総合2位。といっても両者を分けたものは、2度のボーナスタイムと、最終日の山頂スプリントでついた4秒のみ。この成績は不安材料どころか、むしろトリオ内でのヒエラルキー固めに有効だったはず。またドーフィネ初日も、坂道スプリントで3位に食い込む奮闘を見せた。

ところがログラが首位をかっさらった2日目に、総合4位に甘んじると、3日目には7位陥落。そして第4ステージには出走することをやめた。背中に痛みがある、という理由で。

ただベルナルの途中棄権は、フェイクではないかとも囁かれている。つまり本人に敗北の記憶を植え付け、イネオスはもはや無敵ではないという意識を周囲に芽生えさせるよりも、被害を最小限に食い留めたほうがいい。積極的後退。報道によれば、23歳の王者が背中を痛めたことはいまだかつて一度たりともない。しかもリタイア当日は早めにホテルを離れ、同伴カー付きでトレーニングに出かけたようだ。

こうしてユンボvsイネオスのガチンコ対決は、ユンボの圧倒的優勢のまま、一旦終わりを告げた。退却したログリッチの代わりに、最終日を総合首位としてスタートしたピノもまた、ツール・ド・フランスに向けて好材料を持ち帰れなかった。落車のせいで完全ではない身体に鞭打つも……ダニエル・マルティネス24歳、タデイ・ポガチャル21歳、パヴェル・シヴァコフ23歳、4日目の区間勝者レナール・ケムナ23歳等々の恐れを知らぬ若者たちの波状攻撃に翻弄され、ついには逆転負けを喫してしまう。

頂点に立ったのはマルティネス。ベルナルが去り、ナイロ・キンタナも最終日に途中で自転車を降り(7月の事故落車の膝の痛みが引かないため)、チームメートのリゴベルト・ウランやセルジオ・イギータからは心からの祝福を受けて……また新たなコロンビア選手が、ツール・ド・フランスでの大暴れを予感させた。

ちなみに昨夏を大いにわかせたジュリアン・アラフィリップは、大会終盤に2日連続で逃げにトライしたが、勝利には届かなかった。約5ヶ月の中断を経て、8月1日にシーズンが本格再開してから、走行日数はたったの7日。「僕はまだ100%じゃない」とのアラフィリップの言葉は、きっと誰にとっても真実なのだ。

文:宮本あさか

Cycle*2020 クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ 第5ステージ ハイライト

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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