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【アークティック・レース・オブ・ノルウェー / プレビュー】白夜、フィヨルド、オーロラ…北極に最も近いステージレースは超級山岳が王者を決める
サイクルNEWS by 福光 俊介そして締めは、最終目的地・ナルヴィクを目指す165.5km。主催者発表では平坦にカテゴライズされるが、ナルヴィクを基点とするレース終盤の周回コースがスプリンターたちを混乱させるかもしれない。周回中盤の1級山岳は、登坂距離2.3km、平均勾配6.6%。数字だけで見ればパンチャー向きだが果たして。
4ステージの総距離は、687km。各ステージには、それぞれ3カ所の中間スプリントポイント(上位3人に3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが付与される)が設定される。そのうち第3ステージ以外の3日間では、3つ目のポイントがフィニッシュ手前5kmから11kmの圏内に置かれ、“何か”を誘発する要素となる可能性も。また、各日の山岳賞首位のライダーには、ノルウェー産サーモンが副賞で贈られる。
昨年は、シクロクロスの世界王者であるマチュー・ファンデルプールが参戦し、ステージ2勝を挙げるセンセーショナルな活躍を見せた。その彼が、今年も北極圏へやってくる。
今シーズンは、冬場のシクロクロスを終えたそのままの脚で春のクラシックへと乗り込み、アムステル・ゴールド・レースを制してみせた。その後はロードの活動を休んでいたが、先に待つ“本業”シクロクロスの2019-2020シーズンに向け、今大会を試運転の場に選んだ。といっても、ロードやマウンテンバイクまで世界トップクラスという「規格外の男」ゆえ、再びステージ優勝争いに加わるに違いない。
UCIワールドチームでいま最も勢いに乗るチームの1つであるユンボ・ヴィスマは、アムンドグレンダール・ヤンセンがエーススプリンターとして凱旋する。ツール・ド・フランスでは平地系のアシストとしてチームに貢献し、その後はスプリントの局面で勝負を任されることも増えてきた。地元で開催されるレースでは、やはり勝利を挙げたいところ。今年のノルウェー王者は、国旗をあしらったナショナルチャンピオンジャージで走る。
総合争いにおいては、「クライマーの年」となる今回。ツール個人総合10位のワレン・バルギルや、イルヌール・ザカリン、アレクセイ・ルツェンコといった選手たちが中心か。
ノルウェーはヤングライダーの育成大国であることも忘れてはならない。同国から出場するコンチネンタルチーム勢が毎年上位争いに加わってくるが、今年はどうだろう。
今大会には20チームが参戦。うち、UCIワールドチームは、ユンボ・ヴィスマ、アスタナ プロチーム、カチューシャ・アルペシン、ディメンションデータの4チーム。同プロコンチネンタルチームは13チームがエントリーしている。
厳しい寒さに育まれたノルウェーの雄大な自然。それがたとえ夏であろうと、目を見張る絶景ばかりだ。そこに花を添えるのは、色とりどりのサイクルジャージである。
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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