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【ツール・ド・フランス 2019 第13ステージ / レースレポート】完璧な1日。アラフィリップ「自分が一番驚いている」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか2018年マイヨ・ジョーヌのゲラント・トーマスは、いわゆる「総合表彰台候補」の中では最高タイムを記録した。リゴベルト・ウランを22秒、リッチー・ポートとステフェン・クライスヴァイクを31秒、ティボー・ピノを35秒、エンリク・マスを44秒、ヤコブ・フグルサングを53秒上回った。ナイロ・キンタナに至っては1分37秒も遅れ、アダム・イエーツも1分54秒ものタイムを損失した。なによりイネオスの「ダブルリーダー」の片割れで、24時間前まで総合でわずか4秒差しかなかったエガン・ベルナルを、1分22秒も突き放した。おかげであらゆるライバルに対して総合46秒以上のリードを有し、2年連続のイエロー獲りに有利な位置につけた。
ただしアラフィリップを除く。2週間前には決して、このフランス人パンチャーは「総合表彰台候補」のひとりとは考えられていなかった。同第13ステージの出走前は、1分12秒の総合リードをどこまで減らしてしまうのか..もしくは完全に逆転されてしまうかもしれない..と関係者たちをはらはらさせていた。しかしこの日のフィニッシュ後、トーマスは「今からは、彼こそが、総合争い最大のライバルだ」と宣言した。なにしろマイヨ・ジョーヌ姿で、あらゆる中間計測ポイントでトップタイムを更新し、フィニッシュでは元トラック世界&五輪王者の記録を14秒も塗り替えてしまったのだから!
「自分が一番驚いている」と語ったアラフィリップは、第3ステージに次ぐ今大会2度目のステージ優勝を獲得。フランス人としては18年ぶりのツール個人TT勝利を手に入れ、マイヨ・ジョーヌをまとうフランス人としては35年ぶりに独走競技で勝ちを得た。当然のように「36年ぶりのフランス人最終マイヨ・ジョーヌ」という声は大きくなり始めた。たとえ本人は「大会初日から気持ちは同じ。1日1日を精一杯走るだけ」と繰り返したとしても。
アラフィリップとトーマスとの総合タイム差は1分26秒。2019年ツールの山の戦いは、翌14ステージから本格的に始まる。
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