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サイクル ロードレース コラム 2015年10月14日

【ジャパンカップ クリテリウム/プレビュー】宇都宮市街地を駆け巡る、ワールドクラスのハイスピードバトル

サイクルNEWS by 福光 俊介
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大詰めを迎えた2015年のサイクルロードレースシーズン。ひと足早く、ヨーロッパ各地のレースはほぼ終了。国際自転車競技連合(UCI)による年間表彰「UCIサイクリングガラ」を10月11日に終えており、その1週間後に行われる「ジャパンカップ サイクルロードレース」は、1月から始まったシーズンの閉幕を告げる意味合いが強い。

年を追うごとに多彩になるジャパンカップ関連イベントの中でも、大会の幕開けを観る者に実感させてくれるのが「ジャパンカップ クリテリウム」だ。翌日に控えるメインレースとは場所が異なり、栃木県宇都宮市の市街地が舞台。JR宇都宮駅を起点に西に延びる目抜き通り「宇都宮市大通り」を800mにわたり封鎖し、交通をシャットアウト。この時ばかりはクリテリウムサーキットに様変わりする。

そのコースは、1.55kmの周回を23周。うち3周がパレード走行で、その後20周がレースとなる、総距離35.65km。

オールフラットともいえるレイアウトの中でポイントとなるのは、集団内でのポジショニングだ。コーナーはコース内2カ所のみだが、いずれもUターンであることから、通過のたびに減速を強いられる。コーナーをクリアするごとにスピードアップしなければならず、インターバル走行に耐えられる脚が求められる。集団走行の特性上、プロトン前方に位置する選手ほどスムーズな走りができるはずだ。

レース展開としては、スタート直後は逃げ狙いのアタックが頻発すると見られる。逃げに選手を送り込みたいチームは誰を動かすのか、はたまたプロトンは何人までなら逃がしてOKなのか、序盤から選手間やチーム間の駆け引きが見られることだろう。

中盤に差し掛かると、勝利を狙うチームがメイン集団の主導権を握り、逃げグループとのタイム差をコントロールする。150〜200km走るレースであれば数分のタイム差のもとレースが進行するが、このクリテリウムは距離が短いこともあり、それほど大差はつかないはずだ。広がっても30秒程度だろう。一方、逃げグループでは5周おき(5、10、15周)に設けられるスプリントポイントでのトップ通過争いが繰り広げられる。

残り10周となるあたりから、フィニッシュを見据えた動きへと変化していく。レーススピードが上がり、メイン集団が縦長になるだろう。有力チームがスプリントトレインを形成し、集団前方を確保しようと位置取り争いが激化する。同時に、逃げグループとのタイム差もみるみる縮まってくるはずだ。どのタイミングで逃げメンバーをキャッチするかも、勝負のうえでは重要なポイントとなる。

ラスト1周、最後のUターンをクリアするとフィニッシュまで600m。どのチームが先頭で最後の直線に入るか。そして、各チームのエーススプリンターが加速するのはラスト200mあたり。ここからフィニッシュラインまでは力と力のぶつかりあいだ。

過去5回は優勝者が毎年異なり、連覇した選手はいない。だが、ひときわ光る戦歴を誇るのが、“クリテリウム王国”オーストラリアの同種目王者でもあるスティール・ヴォンホフだ。2011年の初優勝以降、4位、優勝、2位と、このレースとの相性抜群。これまでは所属チームからの参戦だったが、今年はチーム招待が得られなかったため、このレースだけに設けられる「クリテリウムスペシャルチーム」から参戦する。アシストにはトラック・オムニアムの有望株である橋本英也が控える。また、競輪上位クラスであるS級ライダーの金子幸央と浅井康太がメンバー入り。慣例である彼らによるホールショット(スタートダッシュ)で、どれだけの距離を逃げ続けられるかにも注目だ。

スピードマンをそろえて乗り込むのは、チーム スカイ。2013年2位のベルンハルト・アイゼル(オーストリア)、前回は発射台として貢献したベン・スウィフト(イギリス)が中心。スプリント力で見れば、どちらでも勝負できる。

ホストライダーである日本人選手にも大いに期待したい。別府史之(トレック ファクトリーレーシング)は、2012年2位、2013年5位と、優勝まであと一歩まで迫った。スプリンターにも負けないスピードに加え、今大会はファビアン・カンチェラーラ(スイス)、バウク・モレマ(オランダ)といった経験豊富な選手たちが脇を固める。主導権を握ることができれば、十分に勝機がある。

ブエルタ・ア・エスパーニャ完走、世界選手権17位と、シーズン前半のけがから立ち直った新城幸也は日本ナショナルチームからの出場。若手4選手と連携を図り、上位進出をうかがう。新城のほか黒枝咲哉のスプリントが魅力だ。

ホームコースでライバルを迎え撃つ宇都宮ブリッツェンは、2013年10位の大久保陣が上位をうかがう。那須ブラーゼンも同じ栃木県勢として地の利を生かしたい。チーム右京は日本チャンピオンの窪木一茂を、チームブリヂストン・アンカーは世界選手権日本代表の内間康平をエースに立てる。そのほか、マトリックス・パワータグ、愛三工業レーシングチームがUCI国内コンチネンタルチームとして出場する。

UCI非公認レースだが、このクリテリウムに賭けて来日する選手も少なくない。空気抵抗が少なく、エアロ効果のある上下一体型サイクルジャージで臨む姿も見られ、どのチームもモチベーションが高い。そしてレース時間は41〜42分と、スタートからフィニッシュまであっという間。片時も目を離すことなく、決定的瞬間をしっかりと見届けよう。

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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