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中間スプリントに向けてエティックス・クイックステップが列車を組み、しかし緑ジャージのペーター・サガンが先頭をかすめ取った後、メイン集団は本格的な追走体制に切り替えた。ほぼすべてのスプリントチームが、交代で先頭を猛烈に牽引した。ゴール前25kmでタイム差は17秒。吸収は時間の問題だった。
ロワとエルミガーは、その時間をできるだけ引き伸ばそうと、夢中でペダルを回した。ゴール前15kmでハウズが先行を断念し、残り10kmでベネデッティが力尽きても、決して諦めようとはしなかった。特にラスト10kmは「ドンブ地方」と呼ばれ、平原と沼地とかが混在し、風の吹きぬける土地として知られている。もしも突風がメイン集団を煽れば、何が起こるか分からないのだから……。
しかし、もしも、は起こらなかった。フィニッシュ前3.5kmまで粘り続けた2人は、握手で互いの健闘を称えあい、大きな集団に飲み込まれていった。先頭の座を、無念にもスプリント集団に譲り渡した。
今大会いまだスプリント初勝利を追い求めるカチューシャのアレクサンドル・クリストフが、積極的に隊列を組み上げた。エーススプリンターのナセル・ブアニは欠場したものの、スプリント用アシストはそのままそっくりツールにやってきたコフィディスが、クリストフ・ラポルテのために列車を引いた。なにより34歳の誕生日を勝利で祝いたいアンドレ・グライペルのために、ロット・ソウダルはラスト1kmのアーチを先頭で潜り抜けた。
3つの真紅ジャージを切り裂くように、先頭に走り出たのは、エティックスのブルートレインだった。キッテルを連れて最前線へと競り上がると、第4ステージ勝者を最高のポジションへと解き放った。
「脚の調子は良かったし、ポジションも最高だった。そしてゴール前約250mでスプリントを切った。でも、僕が先頭を走っているときに、カヴェンディッシュが猛スピードで上がってくるのを感じた」(キッテル、ゴール後TVインタビュー)
道路の右端を駆け上がっていたキッテルの後輪には、実はしばらく前からカヴがぴったりと張り付いていた。そして、ラスト200m、「マン島特急」は左側へと飛び出した。
「僕の本能は『もっと早く飛び出せ』って言っていたんだけれど、とにかく我慢した。キッテルはかなり早くスプリントを切った。しかもフィニッシュの2km手前から、向かい風の中で、アシスト4人に猛烈な仕事をさせていた。だから、この頑張りが、逆に彼の足を引っ張るに違いないと予測していたんだ。僕はひたすら辛抱強く待った。彼のスピードが落ちた時に、追い越しをかけるだけでよかった」(カヴェンディッシュ、公式記者会見)
左側から抜き去りながら、しかしカヴェンディッシュは、ほんの少し右側へと体を傾けた。そのままカヴェンディッシュは先頭でフィニッシュラインを越え、4本の指を突き出した。キッテルは接触の危険を感じ、思わずブレーキをかけた。区間5位に沈んだ。
「単純に、落車の危険を避けるためだった。彼の動きは間違いなく、最終結果に大きな影響を及ぼした。彼はもっと正しい走りをするべきだった」(キッテル、ゴール後TVインタビュー)
「僕は前にいたから、何が起こったのかは見ていない。後で映像も見直したし、この後も見直すつもりだけれど、彼の方が僕に接触してきたのであって、その逆はあり得ない。彼とはまだ話をしていないけれど、単にこう言いたかっただけなんだと思う。『よくやったな』と」(カヴェンディッシュ、公式記者会見)
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