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写真:大会史上初、ツール4賞ジャージが集結
クリス・フルーム(イギリス、チーム スカイ)の3度目の総合優勝で幕を閉じた、今年のツール・ド・フランス。あれから3カ月、フランスから全世界を包んだ熱気と同様に、今度は日本から世界へと発信するときがやってくる。
2013年、ツール第100回の節目に合わせて創設された「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」。その年のツールで活躍した選手たちを招待し、日本の文化に触れながら多くの人々に世界トップの走りを披露する場としてすっかり定着した。
舞台は、さいたま新都心の高層ビル群。進展が著しい日本の都市機能と、伝統を重んじるツールのエッセンスが融合する、世界には類を見ないクリテリウムだ。われわれにとっては、非日常のスピード感を目の当たりにできる貴重なチャンスでもある。
1周3.1kmのサーキットコースは、テクニカルなコーナーやシケイン、かと思えば時速50kmにも60kmにも達するといわれるストレートと、バラエティに富んだ構成。どの局面でレースが動くのか、予測の難しいコースだ。
出場選手たちの紹介、オープニング走行で顔見せを行った後、まずは「個人タイムトライアルレース」で戦いの火ぶたが切られる。海外招聘選手・国内参加選手・女子選手・男子ジュニア選手各7名、パラサイクリング選手7組が出走し、コース1周のタイムを競う。
続いて、タイムトライアルに出場しなかった海外招聘選手・国内参加選手による「ポイントレース」を実施。コース内に設定されたポイントラインを通過した順位に沿って得点が与えられ、完走後の総得点で順位が決定する。フィニッシュ時の着順だけで勝者が決まるわけではないあたりに、このレースの奥深さを感じられるはずだ。
そして、いよいよ大会の華である「クリテリウムメインレース」。こちらは、海外招聘選手・国内参加選手のすべてがスタートラインへ。いずれの選手も「個人タイムトライアルレース」または「ポイントレース」に臨んでからの本番だけに、体が温まって、より動きに満ちたレースとなるだろう。20周回で争われ、万が一メカトラブルなど不測の事態が発生した際は、ピットゾーンでバイクを修理し、当初走っていた集団に再合流してもよいといったクリテリウムルールが適用される。また、ツール同様にポイント賞や山岳賞も設けられる。
7チーム26名が参戦する海外招聘選手。今年のツール出場チーム・選手の中から、成績優秀選手を中心に出場選手が決定。今回は、大会4回目にして初めて、ツールの4賞ジャージがそろう予定だ。マイヨ・ジョーヌのフルーム、ポイント賞「マイヨ・ヴェール」のペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)、山岳賞「マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ」のラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)、新人賞「マイヨ・ブラン」のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)。この大会の初代王者であり、第1回大会から連続出場中のフルームに至っては、ツール期間中の7月に誰よりも早く参加を表明。今年のツール総合優勝を待たずして、「さいたまへ行く」と宣言したほど、このクリテリウムにモチベーションの高さを示している。
また、サガンにおいては、10月中旬のUCIロード世界選手権・男子ロードレースで2連覇。昨年は不参加だったが、今回晴れて世界王者としてさいたま新都心のコースへと戻ってくる。
さらに今年は、別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(ランプレ・メリダ)による「ツール・ド・フランス ジャパンチーム」が2年ぶりに再結成。このときは同時アタックでレースを大いに盛り上げたが、日本人選手初優勝に期待がかかる今回はどのような走りを見せるか。
彼らを迎え撃つ国内参加選手は7チーム25名。今シーズン限りでの引退を表明している伊丹健治(キナンサイクリングチーム)、綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)の走りが見られるのは、残りわずかとなった。
写真:10月29日(土)、さいたまが熱気に包まれる
「個人タイムトライアルレース」に臨む女子は、與那嶺恵理(ポワトゥー-シャラント・フュテュホスコープ・86)と塚越さくら(シエルブルー鹿屋)のリオデジャネイロ五輪組に、地元期待の梶原悠未(筑波大学)、細谷夢菜(浦和工業高校)が。パラサイクリングからは、ともにリオパラリンピック銀メダリストの藤田征樹と鹿沼由理恵・田中まい組みがエントリー。男子ジュニアは、将来性抜群の沢田桂太郎(日本大学)らが出走する。
ツールの感動そのままに、そして今年も「さいたま」の名を世界に轟かせる。サイクルロードレース界が推し進めるグローバル化の波に、われわれもいざ乗り込むときがやってきた!J SPORTSではこの世界に類を見ない大会の模様を生放送&オンデマンドLIVE配信でお届けする。世界最高峰のレースを見逃すことなかれ。
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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