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サイクル ロードレース コラム 2017年8月25日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第6ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ただしヴァンガーデレンは、数珠つなぎでダウンヒルしている最中に落車し、突然姿を消した。また「もっと協力体制が組めると思っていたんだけど」とコンタドールが嘆いたように、マイヨ・ロホはただひたすらコンタドールの背中を見つめているだけ。パンタノも力尽きて後退して行ったし、次々と前から落ちてくる逃げの残党たちが、コンタドールと協力する理由などなかった。

だから……せっかく一旦は突き放せたというのに、再びじわじわと差を詰められた。特に最終峠からフィニッシュまでの長い下りで、エステバン・チャベス、ヴィンチェンツォ・ニーバリ、ファビオ・アル等々は息を吹き返した。残り25km地点で集団は再び大きくなった。

やはり最終峠の上りで、逃げ集団からは、トマシュ・マルチンスキーとエンリク・マスが先行を始めていた。下りではパヴェル・ポランスキーが加わり、37人と巨大だった逃げは、ついに3人にまで絞り込まれた。

逃げトリオには、コンタドールも羨むような、協力体制が存在した。なにしろほんの数秒後ろからはプロトン屈指のフィニッサーL・サンチェスと、イタリア一周ですでに区間2勝の経験を持つヤン・ポランツェが、凄まじい勢いで追いかけてくる。そのさらに数十秒背後では、超強豪集団が突進を続けていた。悠長に駆け引きしている暇なんて、そもそもなかった。

「抜け駆けを絶対に逃すまいと集中した。だって3人の中では、自分が一番スプリントが速いと確信していたから。上手く立ち振る舞う必要はあったけれど、他の2人を倒す自信があった。最後の最後まで『自分にはできるはずだ』と信じ続けた」(マルチンスキー、フィニッシュ後インタビューより)


そんな確信通りに、33歳のベテランは、3人でのスプリント勝負を制した。つまり生まれて初めてのグランツール区間勝利を手に入れた、2017年ブエルタにおける3人目の選手となった。ちなみに昨大会はなんと13人が、「グランツールで初めての区間勝利を挙げる喜び」をスペインで噛みしめている。

「信じられないような感動だ。区間勝利を争いたいと願って、今大会に乗り込んできた。でもこれほど早くチャンスが巡って来るとは、考えてもいなかった。すごく幸せだよ」(マルチンスキー、公式記者会見より)

わずか8秒後に追走の2人が、さらに26秒後には、フルームとコンタドールを含む有力者集団が塊となってフィニッシュラインへと滑り込んだ。コンタの加速時に転んでしまったダヴィデ・デラクルスは43秒遅れで、下りでの落車に加えて、ラスト3km付近でもう1度落車したヴァンガーデレンは46秒遅れで終了した。ヴァンガーデレンは総合2位から4位へ、デラクルスは5位から6位へとそれぞれ一歩後退を余儀なくされた。またツール総合3位のロメン・バルデは、この日だけで6分52秒ものタイムを失い、完全に総合争いから脱落した。

大いに戦いを引っかきまわしたコンタドールは、総合26位から23位へと、またほんの少しだけ順位を上げた。マイヨ・ロホのフルームとの差は3分10秒のまま変わらなかったが、トップ10とのタイム差は13秒縮めて、1分44秒差になった。

「たとえ総合タイムは大きく離れていても、コンタドールが危険人物であることに変わりはない。彼はどれだけ自分が強いか、自分がどれだけ策士なのかを、改めて証明した。ブエルタの終わりまで、間違いなく、コンタドールは至るところで戦いを仕掛けてくるだろう」(フルーム、チーム公式リリースより)

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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