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【ハンマーシリーズ プレビュー】2年目を迎えた革新的ロードレース!ノルウェー・スタヴァンゲルとオランダ・リンブルフで2週連続開催!
サイクルNEWS by J SPORTS 編集部話題を呼んだ初開催から1年、世界最高峰のプロサイクリングチームによる革新的なエンタメ・ロードレース、「ハンマーシリーズ」が今年も帰ってくる。
ハンマーシリーズは、自転車ロードレースに新たな価値観を創造しようと、UCIワールドチーム10チームが出資する企業「ヴェロン」が開催。ツール・ド・フランスやクラシックレースに代表される従来のロードレースとは異なる、全く新しいレース形式で行われる。昨年は6月に、オランダ・リンブルフで記念すべき第1回の大会が行われた。
今年はまず5月25日~27日にノルウェーのスタヴァンゲルで、そして翌週の6月1~3日にオランダのスポートゾーン・リンブルフで、それぞれ3日間にわたり開催される。10月には香港でも開催される予定だ。
ハンマーシリーズの特徴は、完全にチーム対抗で行われ、表彰も個人でなくチームに対して行われる点。またレースはコンパクトな周回コースを使用して、レース時間も1~2時間までで終わるため、伝統的なロードレースに比べて観戦がしやすい。出場する各チームは選手を7人まで登録でき、各レースで5人を選んで出走する。コースや選手の特性、疲労度も計算したうえでの、戦略的な選手起用もポイントとなる。
レースは3日間でクライム、スプリント、チェイスという、それぞれ異なるレースが行われる。1日目のクライムと2日目のスプリントは、それぞれアップダウンコースと平坦系コースで10周程度のレースを行い、各周回の上位通過者10人に与えられるポイントの合計を、チーム対抗で競う。最終日のチェイスはチームタイムトライアルで、クライムとスプリントの順位に応じて時差スタートが切られる。このチェイスを最初にゴールしたチーム(各チーム4人目のゴールをもってフィニッシュとする)が優勝となる。
昨年の第1回大会では、走る側も観る側も初めてとあって、良くも悪くも手に汗を握る、大混戦が繰り広げられた。2年目となる今年は、昨年のレース内容を踏まえて、各チームとも勝利に向けての戦略を、具体的に練ってくるはずだ。
最終的な優勝を得るためには、チームTT(チェイス)の力が最重要となるのは間違いない。ところがこのチェイスのレース形式が曲者で、クライム・スプリントの成績に応じてレースが2組に分けられてしまう。下位の組に入ってしまうと最初から優勝や上位進出のチャンスが失われてしまうため、最初の2日間で「それなり以上の成績」をまず収める必要がある。
第1回大会ではチェイスの組分けが、クライムの順位のみで決まったため、初日を終えた時点で、チームTT有力とみられていたBMCレーシングチームなど数チームが、いきなり下位グループに沈むという波乱があった。今年はチェイスの組分けが、クライム・スプリントの順位合計で決まるように変更され、2日目のスプリントの重要性もアップした。
クライム・スプリントでは、距離が短いうえに強度も最初から高く、またゴールだけを取ればいいというわけでもない。普段とは全く異なるスタイルのレースで、普段われわれが見慣れているスター選手とは違った顔ぶれが、上位で活躍する可能性もある。
クライムはいわゆるアルデンヌクラシックを得意とするような選手が強いだろう。スプリントも一発ゴールを狙う純粋スプリンターより、逃げを作ってその中でスプリント力もある選手が、得点を稼ぎやすいと思われる。
そしてチェイス。第1回大会では途中から複数のチームがサイド・バイ・サイド、あるいは完全に混ざってしまっての走りもみられた。ゴール前のチームスカイとサンウェブが入り乱れてスプリントと、紙一重でのスカイの勝利は、見応えはあったものの、現状追認的にオーケーとされた感もあった。実際のところ、あれはやはりよろしくなかったようで、各チームをしっかり分けるレースコントロールが試みられる。
各チームは前後25m以上の間隔か、左右2m以上の間隔が本来求められており、一定以上の違反状態が認められた際は、イエローフラッグが振られる。違反チームは間隔を正しく確保しなければならないと同時に、30秒間の追い越し禁止となる。再度の違反ではオレンジフラッグが振られ、2分間の追い越し禁止に。そして3度目の違反はレッドフラッグで、チームはレース失格を言い渡される。
ハンマーシリーズのレース形式はまだ実験的な部分が多く、今年の新ルールのもとでもレースがどうなるかは、相変わらず「やってみないと分からない」状態だ。何はともあれ、ロードレースが新たな1ページを開く試みを、われわれは目撃できるというわけだ。
誰が活躍するか分からない、とはいえ、スター選手の出場はレースを華やかにする。各大会の出場予定選手をチェックしてみよう。
まずはスタヴァンゲル大会には、ワールドチームが10、プロコンチネンタルチームが4の、計14チームが出場する。UAEチーム・エミレーツのアレクサンドル・クリストフ、クイックステップフロアーズのニキ・テルプストラあたりがビッグネームか。
日本人選手は、トレック・セガフレードの別府史之がハンマーシリーズ初参戦。またNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニから小林海が、昨年に続いての出場となる。ともに前方で逃げを作るなどの活躍を期待したい。
リンブルフ大会は、ワールドチームの出場が2チーム増え、全16チームで争われる。ジロ・デ・イタリアやツアー・オブ・ジャパンが終了して翌週の開催とあって、現在開催中の両レースで活躍している選手の名前も多く見られる。同週末にはフランスでクリテリウム・ドゥ・ドーフィネが開幕するが、ハンマーシリーズの前半レースに出場してから、日曜開幕のドーフィネに出場する選手もいるとみられる。
サンウェブのトム・デュムランは2年連続の出場。昨年は3週間のジロを終えたばかりだが快走を見せていた。今年もジロ勝者としての凱旋なるか? またBMCレーシングチームは、リッチー・ポート、フレフ・ヴァンアーヴェルマート、サイモン・ゲランスといったスター選手を惜しげも無く投入。昨年の「下位争い」から名誉挽回を狙う。
トレック・セガフレードはジョン・デゲンコルプが参戦。ロットNL・ユンボはジロからエンリコ・バッタリン、ダニー・ファンポッペルの両エースがそのままシフトする。ロット・ソウダルはジロで区間勝利を挙げたティム・ウェレンスが出場予定に名を連ねる。
J SPORTS 編集部
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