【ハイライト動画あり】因縁の東海大付属福岡戦で示した底力　桜花学園を支えた水林夢翔の奮闘 | 高校バスケ ウインターカップ2025

インサイドで身体を張り続けた水林夢翔

インターハイに続く日本一を目指す桜花学園にとって、東海大付属福岡は3年前、1点差で逆転負けを喫した因縁の相手だった。白慶花コーチは当時チームに在籍していなかったものの、この試合に対して特別な意識を持って臨んでいたという。

「後輩たちの活躍は気にかけていましたし、その前年に三冠を達成してから苦しい時代に入りました。勝ちたくても勝てない我慢を強いられる年が続いて、ようやく今年、（インターハイ優勝で）払拭できたと思っています。メインコートに行くこともそうですけど、これは井上（眞一）先生がくれた挑戦、試練だと思いました」

その桜花学園は、1Q序盤で想定外の試練に直面する。6分12秒、イシボ・ディバインがドライブからファウルをもらいながらレイアップを決めたものの、着地の際に右ひざを痛めてしまい、ベンチに下がることになったのだ。

しかし、桜花学園は心身両面で揺るがなかった。白コーチはあの状況をこう振り返る。

「3年生の中心選手、ゴール下の要が負傷するアクシデントでしたけど、みんなが顔を上げ、目を合わせながら声をかけていたのが良かったと思います。ディバインに頼り切っていたインサイドのところで、勝部と水林、ワンポイントで使ったアナヒタが本当に踏ん張ってくれたので、下級生がよく頑張ってくれたと思います」

ディバインがコートを離れた後、東海大付属福岡の留学生で190cmのニエ・カディジャ・ファールに対し、177cmの水林夢翔がインサイドで身体を張り続けたと言っていい。ディバインの負傷後に放ったフリースローを決めてリズムを掴んだ水林は、攻防両面でチームを支える存在になった。速攻や勝部璃子のアシストからショットを決めるなど、13点をマークした。

「ディバさんがケガしたとき、自分がやらなきゃと思いました。前半は留学生にやられましたけど、後半は絶対にやらせないという気持ちでディフェンスができたので、相手のミスを誘えて良かった」

こう語った水林は、3年前に先輩たちが悔しい思いをさせられた相手に、61対55で競り勝つ原動力になった。U18トップリーグの最終戦で京都精華学園と対戦した際には、15分33秒の出場で12本のリバウンドを奪っていた経験が、ウインターカップのビッグゲームで生きたと言っていい。

白コーチはこの日の水林をこう評価する。

「まだまだもっとできると思っています。最初は緊張のせいか、ちょっとファウルをしてしまいましたが、（私が）声を掛け合いながら水林もしっかり目を見て頷いてくれていました。信頼関係もできているので、立て直せると思っていました」

準決勝の相手は八雲学園。留学生のテウ・アダマは、一関学院との3回戦で35点、27リバウンドを記録するなど、ディフェンス対応が非常に難しい選手だ。ディバインが欠場となれば、水林はスターターとして重要な役割を担う可能性が高い。

「得点も器用さも彼女の武器ですけど、目に見えない貢献度、ディフェンスでファイトすることやいいスクリーンをかけたりとか、地味なプレーヤーだけど身体を張ってやってくれる」

こう語る白コーチは、東海大付属福岡戦で得た自信を糧に、2年生ながら今後が楽しみな水林が、メインコートの大舞台でもチームを支える存在になると期待を寄せている。

文：青木崇