【ハイライト動画あり】留学生対策を想定した準備が勝負を分けたーー北陸学院、柳ヶ浦を48点に封じて3回戦へ | 高校バスケ ウインターカップ2025

長谷川蒼（写真左）

インターハイでベスト8に進出した北陸学院の2回戦の相手は、ファデラ・ママドゥという能力の高い留学生を擁する柳ヶ浦だった。インターハイ優勝校の鳥取城北相手に25点差を5点差まで詰め寄るなど、上位進出の力を秘めたチームである。

北陸学院もファディペ・バヨ・ジョシュア、アーロン・リビングストーンと2人の留学生を擁しているが、2人とも前半で3つというファウルトラブルに陥ってしまう。ハーフタイムで13点をリードしていたものの、後半を戦ううえでの不安材料になるかと思われた。しかし、濱屋史篤コーチは留学生のファウルトラブルを想定。186cmの長谷川蒼、187cm水口朔太郎という身体の強さがあるフォワード陣が、ママドゥに対応する策を準備していたのである。長谷川はその意図を次のように説明した。

「うちの留学生はまだ入ったばかりというのもあって、ファウルトラブルが結構起こりやすい。練習試合の時からビッグマンにつくケースが何回もありました」

ママドゥは22点、21リバウンドと奮闘したが、2Pフィールドゴールが12本中3本成功に終わる。さらに、4Qで1点も奪うことができなかったのは、濱屋コーチが準備してきたプランをチームとしてしっかり遂行できたことの証。「自分たちが留学生についているときにボックスアウトできれば、ストーンとかバヨがしっかりとリバウンドを取ってくれました。ママドゥに取らせないという点では、うまくいったと思います」と、水口はディフェンスで勝利に貢献できたことを素直に喜んだ。濱屋コーチも2人のディフェンスを称賛した。

「彼らはよかったですね。ママドゥがもう少し中でやってくると思ったのですが、意外と外ばかりだった。うちの4番ポジションはファイタータイプなので、長谷川と水口でマッチアップできると思い、このディフェンスをやりました。セカンド・ショットでやられるとどうしようもないので、そこが止まったのは大きかった」

後半の20分間は、ファウルトラブルに陥った留学生を儀間にマッチアップさせたことが機能し、ゴール下のディフェンスとリバウンドにより集中できる状況を作り出せたことが、難敵の柳ヶ浦を48点に抑え込んで勝てた要因となった。濱屋コーチの「儀間（クリス）くんがアウトサイド・ショットが苦手ということは、ビデオ・スカウティングでわかっていました。そのあたりをコントロールしながら、ある程度打たせて中を抑える形でやりました」という言葉通り、ディフェンスのゲームプランを選手たちが遂行できたからこその結果と言える。

北陸学院のオフェンスはショットの成功率が35.2％と低調だったが、ベンチから出てきた神保旺介の16点を最高に、4人が2ケタ得点を記録した。シューティング・スランプに陥っていた小野蓮太が4Qに2本の3Pショットを決めるなど15点をマークしたことは、3回戦の福島東稜に向けて明るい材料だ。

北陸学院にとっては、大倉颯太（アルバルク東京）を擁して3位になった2016年以来となるメインコートの舞台まであと1勝。濱屋コーチは当時のチームとの違いについて、「的が絞りづらいと思います。今年は小野、藤原（弘大）、神保がアウトサイドにいます。颯太の時はそこに集中するところでしたが、今年はそれがないのでオフェンスが分散できると思います」と語る。2年生で司令塔を務める小笠原和真も、インターハイを経験してから着実に成長中。柳ヶ浦を攻防両面でコントロールして勝利した北陸学院は、選手層の厚さと遂行力の高さが強みのチームとして、頂点を狙える可能性を秘めていると言っていいだろう。

文：青木崇