【白鴎大】指揮官不在、留学生が出場しない状況でも準優勝という結果は選手層の厚いチームであることの証

決勝で敗れた白鴎大

新人インカレでの白鴎大は、網野友雄コーチがウィリアム・ジョーンズ・カップに参戦している代表チームを指揮を執るために不在。ビッグマンのウィリアムス・ショーン莉音（2年・明成）もウィリアム・ジョーンズ・カップに出場するために離脱し、留学生のネブフィ・ケルビン・シェミリー（1年・開志国際）もベンチに入らないという中で大会に挑んだ。

初戦がオルワペルミ・ジェラマイア（1年・日本航空）を擁する天理大だったことに加え、チームの中心選手となる小川瑛次郎（2年・羽黒）が大会前の練習中に脳震盪のアクシデントに見舞われてしまう。かなり厳しい状況に直面することになったが、網野コーチの代行として指揮した石井悠右アシスタントコーチは、「スモールボールは僕からしたらやりやすいというか、狙いどころと彼らの長所が思い切り出せるシステムを使っていました」と話したように、コートにいる5人による厳しいディフェンス対応で答えを導き出そうとした。ジェラマイアに23点を奪われたが、FGは29本中11本成功の37.9％と確率を低くさせたことで、白鴎大は68対61で難敵に競り勝ったのである。石井アシスタントコーチは、天理大でチームの成長に手応えを感じていた。

「今度はみんなが瑛次郎を助ける番じゃないかということで、チーム力がよりフィットして、やるぞという気持ちが乗り移り、それを表現できたのはすごくよかったと思いました」

グループ戦から、1年生時から佐藤涼成（4年・福岡第一）の控えPGとして出場している南澤空（2年・実践学園）、春のトーナメントから飛躍しているロイ優太郎（2年・習志野）がチームを牽引してきたが、準々決勝の九州共立大戦で小川が戦列に復帰すると、明治大との準決勝で3本の3Pショットを含む17点と活躍。控えのパワーフォワードで関東の新人戦は故障で欠場していた内田悠介（1年・延岡学園）も明治大戦と決勝の日本経済大戦で11点ずつとステップアップするなど、どの選手が出てきてもチームに貢献できる選手層の厚さがあることを証明していた。

日本経済大との決勝戦、白鴎大の石井アシスタントコーチは優勝への強い拘りもあり、コアとなる7人をローテーションさせて戦った。しかし、肝心な局面で決定力の違いを見せられたことと、プレス・ディフェンスに対してミスが出たことが要因となり、70対76で競り負けの準優勝。春のトーナメント、ルーキートーナメントに続くシルバー・コレクターという結果について、石井アシスタントコーチは次のようにコメントした。

脳震盪から復活してチームを牽引した小川

「チームとしてステップアップしなければならないというところは、どこかを変えなければいけない部分があると思うんです。それはチーム全員でフィードバックしていきたいです。今日のゲームで言えば、いい流れで入れそうだったんですけど、プレスブレイクのところでミスが続いてしまって、そこから自分たちのペースを作れなかった。プレスブレイクができたとしても、ハーフコートのオフェンスで何をやるのかが整理できていなかったというところで、リズムを作れなかったです。

1Qで相手に先行されて20点くらい取られたのは僕たちらしくないし、2Qが21対15で自分たちのペースになったんですが、3Qで失速してしまいました。相手のやりたいことを2Qで抑えられたのに、自分たちからやらなければならないディフェンシブなチームというプライドを捨ててしまったというか、そこが表現できなかったのが敗因かと思います」

新人インカレで主力となった小川、南澤、ロイの3人は、オータムリーグとインカレで頂点を狙うチームにとって一貫した活躍が期待される選手たち。春の大会で立て続けに悔しい思いをした白鴎大は、今後チーム内での競争がより激しくなり、選手層もより厚くなることが予想される。8月下旬に開幕するオータムリーグでは、佐藤やモンガ・バンザ・ジョエル（4年・別府溝部学園）を軸に、2年ぶりのタイトル奪回を目指すことになる。

文：青木崇