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日本大も東海大も選手層の厚いチーム。フィジカルな攻防が予想される中でどちらが主導権を握るか? | 全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ) 男子決勝プレビュー
ウインターカップコラム by 青木 崇決勝で激突する日大の米須(左)と東海大のハーパー(右)
日本大は中央大戦と日本体育大戦で3Pショットが大当たりだった名古屋学院大に対し、ディフェンスで試合のテンポをコントロールすることに成功。特に永野威旺が起点となるドライブ&キックアウトで、中山玄己らシューターが3Pを打つオフェンスを簡単に展開させなかった。
オフェンスでは「ディフェンスから速攻というスタイルを結構出せたと思います」と語った米須玲音が抜群のタイミングでファストブレイクの得点に繋がるパスを供給するなど、9アシストと司令塔として素晴らしい仕事をした。コンゴロー・デイビットがインサイドで着実に仕事をして17点、11リバウンド、松村竜吾が4本の3Pを含む14点、新井楽人も12点と4年生たちがチームを牽引。日本大は3Q中盤で名古屋学院大を引き離し、優勝した2009年以来となる決勝進出を果たした。
過去4年の決勝で対戦したもう一つの準決勝は、東海大が白鴎大の2連覇を阻止しての勝利を手にした。フィジカルなディフェンスによってロースコアの展開になったが、45対45の同点で迎えた4Qに直井隼也がドライブからレイアップ2本、西田陽成が3P2本を決めて11−0のランで白鴎大を引き離した。「正直今シーズン25点を取ったことがなかったので、自分でもビックリしているんです」と語った西田は、昨年の決勝で負けた相手に雪辱する原動力になった。
決勝に勝ち上がった日本大と東海大は、オータムリーグの直接対決が1勝1敗。9月1日の1巡目は新井がベンチから出て22点を記録した日本大が86対61で快勝。しかし、2巡目は東海大がフィジカルなディフェンスに日本大のオフェンスを停滞させ、FG成功率を27.6%に抑えたことが決め手となり、56対47のスコアで勝っている。
決勝の注目点としては、試合のペースをあげておきたい。準決勝で敗れた白鴎大の網野友雄コーチが「向こうのペースで戦ってしまった」と語ったように、日本大が東海大のスローペースで試合を進めないようにすることが大事になる。
東海大のハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニアが「玲音がキーになってくるので、好きにさせないようにするのが大事。玲音を乗らすことによって周りも生き生きしてくるので、そういうのをさせたらダメだと思います」と話したように、日本大としては米須が名古屋学院大戦と同様に素晴らしいゲームメイクでオフェンスをコントロールし、デイビットがムスタファ・ンバアイに対してインサイドの攻防で主導権を握りたいところ。
東海大としてはディフェンスで主導権を握り、轟琉維を起点にしたハーフコート・オフェンスを遂行できるかが重要。ムスタファ・ンバアイのファウルトラブル回避と、西田が白鴎大戦に続いて3Pショットで得点を稼げるかは、勝敗を左右するうえで重要。準決勝で福岡第一の後輩である佐藤涼成とのマッチアップに気合いが入りすぎたことで空回りし、4点に終わったハーパーのステップアップも目が離せない。
両チームとも選手層が厚く、準決勝で10分以上の出場時間を得た選手が日本大が10人、東海大が8人いた。日本大のガード井上水都は、決勝のカギについて次のように語っている。
「東海さんは10人とか11人くらいのローテーションなので、それに対して自分たちがローテーションを組んだ時の変わり目、メンバーが変わった時がかなり重要だと思う。メンバーが変わった中で自分たちの強さ、ディフェンスの圧と強度を40分間保てるかどうかが必要になってくると思います」
大学日本一を決める決勝は、日本大にしても東海大にしても、いいプレーをした4年生が多いチームが頂点に立つだろう。40分の試合時間中に試合の流れを引き寄せるXファクターになりうる下級生が出てくるかもしれないが、最後の最後で勝敗を決めるビッグプレーは、4年生が決めるに違いない。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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