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【羽黒高等学校】高校の3年間でインサイドプレーヤーからアンダーカテゴリー代表で活躍するシューターへと成長した小川瑛次郎 | 高校バスケ ウインターカップ2023
ウインターカップコラム by 青木 崇小川瑛次郎(羽黒高等学校)
開志国際との3回戦、羽黒の中心選手である小川瑛次郎は、厳しくマークされたことに加え、3Pショットがことごとくリングに嫌われていた。それでも、1Qは今井悠太が3本の3Pショットを決めるなど11点を稼いだことで、羽黒は2分20秒で21対19とリードを奪う。
しかし、留学生のネブフィ ケルビン シェミリーに攻防両面でリバウンドを支配されてしまった羽黒は、開志国際に1分49秒間で10−0という猛攻に直面。開志国際はディフェンスで小川にマッチアップしていた千保銀河や石井息吹がヘルプでほとんど動かなかったため、羽黒はそれに対抗できるオフェンスを展開できず、難しいショットを打たされ続けたことで得点が伸びなくなる。
「1、2回戦ではやっていない戦い方でワンチャンスあるかなと思いました。最初リードをできたりしたんですけど、落ち着かれて(セットオフェンスを)組まれてしまうと厳しかったです。もう少し粘れたら良かったのですが…」
齋藤仁コーチがこう語ったように、羽黒は2Qも序盤から中盤にかけて開志国際に15連続得点を献上。あっという間に20点差まで広下られると、3Qには最大で43点差という一方的な展開で試合は進み、71対101のスコアで敗れた。
「自分たちのバスケットを最初から最後までやり遂げた結果です」とサバサバした表情で話していたように、小川は時に最後まで自分らしさを失うことなくプレーを続け、4Q残り1分のこの試合4本目となる3Pショットを成功させた(トータル18点)。しかし、試投数が21本、19%の成功率に終わるという苦い経験を味わうことになったが、齋藤コーチは最後まで3Pショットを打つことを止めなかった小川を称えた。
「彼は打ってナンボです。打ち続けるメンタリティは持っているし、シューターらしくなってくれた。元々センターで入ってきましたが、シューターのメンタリティを身につけてくれたので、今後の活躍を期待したいです」
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【ハイライト】開志国際(新潟) vs. 羽黒(山形)|高校バスケ ウインターカップ2023 男子3回戦 Bコート(12月26日)
秋田市立城南中3年生の時にJr.ウインターカップ制覇で日本一を経験した小川は、羽黒に入学するまで少しぽっちゃり体型の選手だった。しかし、齋藤コーチは将来性を考慮し、すべてのポジションでプレーすることを経験させたうえで、シューティングガードとして育成。小川自身も食生活を変えることで減量に成功し、ガードとして必要な動きができるようになっていた。
その決断が正しかったことは、小川がアンダーカテゴリーの代表に選ばれ、昨年のU17ワールドカップで58.1%で1位、U19で50%(1位タイ)の成功率を記録したことが証明している。
「この3年間で2番ポジションでプレーさせてもらって、やはりバスケットはショットを打つことがすごく楽しいです。シュート打たないと入らないですから」と語った小川は、チームメイトや齋藤コーチの声かけと信頼を得たことによって、自信を持って打ち続けることの大事さを学んだ。シューティングガードとしてこれから小川が目指そうとしている選手像は、身長が1cmしか違わない富永啓生(ネブラスカ大)だ。
「富永選手のような苦しい場面で入れることができたり、クラッチタイムで決められる選手になりたいです。そういうプレーをしたいですし、もちろん超えたい存在なので、目標にしている選手です」
また、U17とU19代表として世界を体感したことで、フィジカルを強化することを必要性を痛感した小川は、夏以降ウエイト・トレーニングに力を入れた結果、上半身が鍛えられたことが明らかにわかる姿をウインターカップで見せてくれた。高校卒業後は関東にある大学に進学することになるが、自慢のシュート力に磨きをかけると同時に、フィジカルの強さを見せられる選手になれるかに注目したい。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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