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【ウインターカップ2023女子プレビュー】三冠を狙う京都精華学園が本命も、タイトルを奪回できるだけのチーム力を持つ桜花学園
バスケットボールコラム by 青木 崇
決勝で桜花学園を88対65のスコアで大勝するなど、京都精華学園は2回戦の岐阜女子戦を除くと、最低でも18点の差をつけてインターハイの頂点に立った。昨年のウインターカップで優勝に貢献したオールラウンダーの八木悠香と司令塔の堀内桜花が最上級生としてチームを牽引し、イゾジェ ウチェの後を継いだ留学生のディマロ ジェシカも、桜花学園戦で20点、18リバウンドを記録するなど、インサイドで強烈な存在感を示す選手へ成長。橋本芽依と桃井優を加えたスターターの5人は、対戦相手にとって厄介な存在でしかない。
しかし、U18トップリーグの期間中は厳しい状況にも直面した。大阪薫英女学院に負けた9月30日の夜、山本綱吉コーチは落胆していた選手に対して改めて自身の覚悟を伝えたという。「私が辞めるかどうかというくらいの追い込みをしました。本当に私も歳ですし、そういう(意欲をなくした弱い)気持ちで入るのだったら、自分自身も引くという覚悟でやっているということを言いました」
延長の末に岐阜女子を80対71のスコアで競り勝った後、山本コーチは「本当に最後までチームとして頑張ってくれたというのが、大きな収穫だったと思います」と語った。桜花学園との一戦はリードされる時間帯が長かったものの、4Q終盤で逆転して勝利したことは、三冠がかかるウインターカップに向けて大きな自信となったのは間違いない。
U18トップリーグで京都精華学園と激戦を繰り広げた桜花学園は、ウインターカップのタイトル奪回に意欲満々。昨年は3回戦で東海大付属福岡に1点差の逆転負けを喫した悔しさを誰よりも知る田中こころを軸に、京都精華学園のスターター5人と互角に戦えるタレントは揃っている。順当に勝ち上がれば準々決勝で岐阜女子、準決勝で札幌山の手との対戦が濃厚だが、トップリーグでは両校に2ケタ得点差をつけて勝利している。
京都精華学園に対して3度目の正直で倒して頂点に立つには、192cmの福王伶奈とフィジカルの強い深津唯生が、ディマロ ジェシカをいかにスローダウンさせるか勝利へのカギ。U18トップリーグでの戦いを通じて「インターハイの反省を含めて、ディフェンスの強度を上げていく」と長門明日香コーチが話したように、京都精華学園を60点に限定したことは桜花学園にとって大きな意味があった。もちろん、バスケットボールは得点しなければ勝てないスポーツであるだけに、キャプテンの田中、黒川心音、阿部心愛が得点面でチームを牽引することが期待される。
2強に続くのは、インターハイで3位、トップリーグで京都精華学園を破った大阪薫英女学院。桜子と桃子の木本姉妹、島袋椛、松本汐音の3年生4人が2ケタ得点を計算できるなど、活発なボールムーブでオフェンスを展開する。U18トップリーグの京都精華学園戦で8アシストを記録するなど、木本桜は得点機会のクリエイトで重要な存在だ。また、3Pショットの成功数が10本以上になるか否かは、2強を倒すために欠かせない要素になる。
主力がいずれも175cm以下ということもあり、大阪薫英女学院は2強に比べるとサイズの不利に直面する。「うちは(インサイドに)入られてしまうと負けてしまうので、しっかりプレッシャーをかけること」と安藤香織コーチが話したように、機動力を武器にしたディフェンスが機能するかも、成功を手にするためのカギになりそうだ。
大阪薫英女学院とともにインターハイでベスト4に進出した札幌山の手は、1回戦で対戦する精華女子と千葉経済大附属の勝者と準々決勝で対戦する可能性大。U18トップリーグで両校から勝利しているだけに、大山瑚南菜を軸にしたチームが再びメインコートの舞台に戻ってきても驚かない。
U18トップリーグで京都精華学園を苦しめた岐阜女子は、3Pショットが武器のかせ(糸に白)野夏海が中心のチーム。長年のライバルである桜花学園を倒なければメインコートには立てないが、伝統である粘り強いディフェンスを40分間継続できれば、勝機は十分にあるだろう。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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