人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

バスケット ボール コラム 2021年12月19日

全文公開!ハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニア(福岡第一→東海大学)| ウインターカップ開幕直前 卒業生インタビュー

ウインターカップコラム by 青木 崇
  • Line

3連覇を目指していた福岡第一のキャプテンとして、ハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニアはすごいプレッシャーを感じながらウインターカップの準備をしていた。順調に勝ち上がって迎えた準々決勝の仙台大附明成戦は、事実上の決勝と言ってもいいくらいのマッチアップ。得意とする走る展開のバスケットをなかなかできない中でも、福岡第一は試合の大半をリードしていたが、終盤に力尽きて3点差で惜敗。ハーパーは今まで試合に負けてもまったく泣くことがなかったと言うが、この敗戦後はいろいろな思いが込み上げて、涙が止まらなかった。今回のインタビューでは、仙台大附属明成戦のことや試合後に感情的になって涙が出た理由などについて話を聞いた。

無料動画

ハーパー ジャン ローレンス ジュニア選手

Q インターハイがコロナで開催できず、試合経験が足らない中で迎えたウインターカップ。3連覇を狙うチームのキャプテンとして、大会を迎えるまでの期間で苦労した部分は?
「インターハイとかもなくなってチーム的にもモチベーションが下がっていた中で、ウインターカップが開催されるというのが決まりました。モチベーションの保ち方が難しかったです」

Q そんな状況の中、昨年の今ごろはどんな心境で日々を過ごしていましたか?
「ウインターカップが近づくごとに3連覇しなければいけないというプレッシャーがだんだん強くなってきて、キャプテンとしてチームを最後までまとめなければいけないなという風に思いました」

Q 今までに感じたことのないプレッシャーだったわけですね?
「はい、そうです」

Q 1回戦から3回戦までは順調に勝ち上がりました。事実上の決勝という声もあった仙台大学附属明成との準々決勝を迎えるにあたり、勝敗を左右する材料はどんなことになると考えていましたか?
「どれだけ自分たちのプレースタイルができるか、ディフェンスから素速い速攻にどれだけ持ち込み、どれだけそれを出せるというのがすごくカギになっていたんですけど、うまく明成にやられて自分たちのブレイクが出せず、試合が終わったという感じになりました」

Q 仙台大学附属明成はサイズがあり、ゾーンディフェンスでテンポを遅くさせ、リバウンドをコントロールされてなかなか福岡第一のペースに持ち込めませんでした。1Qで10点リードする局面もありましたが、彼らが他のチームとは大きく違うと感じたところは?
「他のチームって身長的にもガードとフォワードがだいたい同じくらいなんですけど、明成の場合はガードが180で2番が190くらいの身長で、自分たちからしたらすべてがミスマッチみたいな感じになっていました。それにしてでも自分たちの代はゾーンをされたことがそんなになく、ソーンを攻めるのに慣れていなくて、自分が焦ってパスミスや苦しいシュートを打ってチームに迷惑かけてしまったなと思っています」

Q ハーフタイムは31対25とリードして迎えました。ゲームプランを遂行できていなかった感じですけど、井手口コーチからはどんなアドバイスがありましたか?
「井手口先生にはずっと“とにかく我慢しろ”という風に言われていました。ポイントガードをやっていたので“しっかりゲームをコントロールして、自分がチームを乱したらダメ”、“自分たちの時間が絶対に来るからずっと我慢しろ”という風に先生から言われていました」

Q 3Qは7分強で4点しか奪えず、逆転される状況に直面しました。それでも4点リードで3Qを終えたことで、ロースコアのディフェンスマッチでも福岡第一は勝てるという手応えがあったのでしょうか?
「自分はそんなに高校で負けたというのがなく、ずっと勝ってきたので、負けるという感じはなかったです」

Q 福岡第一のスタイルで戦えていないながらも、ということですね?
「はい」

Q 4Q序盤から中盤にかけて、ハーパー選手がリードを8点に広げるショットを2本決めました。ただし、10点差にできそうな場面でチームは2本連続のターンオーバー。アリのファウルアウトに直面しながらも、ラスト4分半はリードチェンジが5回、同点が1回という壮絶な戦いが展開されました。61対62とリードされた残り1分を切った場面ではドライブで勝負に行きました。やはり、ここは自分しかないという思いが強かったですか?
「そうですね。ベンチで井手口先生にずっと“なんでもいいからお前がやれ!”と言われていて、去年(実際は一昨年)もずっと学年代表として自分が試合に出させてもらっていたので、ここはなんとしてでも自分が決めなければいけないなという風に思いました」

Q 相手がゾーンだったので、ドライブで仕掛けたほうがいいと思ったのですか? ファウルをもらえる可能性もあったことでも…。
「そうですね。確か明成はファウルが溜まってい他ので、ファウルをもらってフリースローとという風に自分は考えていました」

Q あれだけ緊迫した状況の中でも冷静にプレーできていたわけですね?
「ポイントガードとして常に冷静でいなければならないと思ってましたので、冷静な判断でやっていました」

Q 残り22秒で決まれば同点の3Pショットを打ちました。ディフェンスがアンダーで対応したことでオープンになったことで躊躇なく打ったのですか?
「残り時間が少なくて3点差、ここはスリーを狙わなければいけないというタイミングでちょうど相手がアンダーしてきたので、スリーを打ったんです。自分的にリリースした瞬間は“これ、多分入ったな”と思ったんですけど、少し長くて球が強くて、奥に当たってしまって外れてしまった。そこは後悔していますね」

Q 相手がフリースローを2本ともミスしたことで、同点に追いつくラストチャンスが来ました。トップからのピック&ロールで攻めて、右コーナーでオープンになった早田の3Pショットが外れるという結果になりました。最後のショットは自分がという思いはありながらも、チームプレーを優先したということですか?
「この試合の早田はスリーが4分の4と外していなかったんですよ。自分が打ちたいという気持もあったんですけど、早田もシュートが当たっていたので、早田に渡そうという風に試合中迷っていて、とりあえず自分に2人(のディフェンダーが)来ていたので、右側にいた佐藤涼成君に渡したらコーナーがガラ空きになりました。早田にパスが渡って打って外したんですけど、あれはしょうがないと言うのもあれなんですが、4分の4で当たっていたので、それは早田が打って正解なのかなという風には思います」

Q 河村くんと仲がいいと言ってましたけど、大学でもチームメイトになりましたが、どうコミュニケーションを取っているのですか?
「勇輝とはずっと最近、特別指定などで(Bリーグに)行っていて、外国人とコミュニケーションと取らなければいけないということで、英語を喋らなければいけないと言っています。自分はアメリカ人とのハーフで英語が喋れるので、最近ずっと勇輝と大倉颯太さんと英語で話したりしています。
 颯太さんは本当に自分が言ったことに対して全部返せるので、自分もすごく驚きましたね。勇輝はまだまだなんです。自分が言ったことには笑って、なんか流す感じなので、全然理解していないなと風な感じなので、まだまだですね」

Q ずっと勝ってきたチームが負けたことですごく悔しかったと思いますが、試合後のミーティングでも人生で一番泣いたんじゃないというくらい涙を堪えられなかったわけですが、どんなことが頭の中でよぎっていたのか、記憶にありますか?
「自分はバスケの試合で1回も泣いたことがなかったんですよ、負けても。中学校最後の試合で負けても全然泣かなくて、高校に入ってずっと優勝してきて、自分たちがディフェンディング・チャンピオンという代でもあったので、そのプライドもあったし、自分たちが負けて大濠さんだとか、福岡第一のみんなに自分が辛い思いというんですかね、自分が期待を裏切ってしまったという感情が湧いて泣いてしまったんです。それと、自分が中学の時の監督がずっと体調を崩していました。自分たちの試合を毎回見ていたんですけど、明成戦が終わったころに亡くなってしまったので、その気持もあって…。松島(良和:元レバンガ北海道で現国士舘大コーチである良豪の父)先生に“自分は絶対に優勝して、先生に報告する”と約束していたんですけど、明成戦で負けてしまって期待を裏切ってしまったという風に思って、途中でその感情が湧いてきて泣いてしまいました」

Q 試合後に井手口コーチからどんな言葉をかけられたか覚えていますか?
「泣きすぎてそんなに覚えていないんですよ」

Q では、3年間プレーしてきて印象に残っているアドバイスとは?
「やはり最後の明成戦で自分に“お前がやれ!”という風にアドバイスしてもらって、それが一番印象に残っています」

Q 負けるという感じはしなかったと言っていましたが、負けたことでいろいろな感情や松島先生の件があって、落ち着いたときに最初に感じた感情ってどんなものでしたか? キャプテンとしての重圧から解放されてホッとしたり、お世話になった方への感謝だったりあると思うんですけど、最初に思い浮かんだこととは?
「自分が最初に思ったのは、“松島先生が最後どう思っていたのかな”という風に思いました。沖縄出身なんですけど、すぐに帰って松島先生の家に行きましたね」

Q 3年間で2度優勝を経験したウインターカップで学んだことや経験で、現在の自分に生かされている、新たなモチベーションになっていることがあれば、話してもらえますか?
「2連覇してから自分の代で負けてしまい、やはりこの悔しさを知ってなかったら今の自分はないと思います。自分の代で最後負けてしまった悔しさをモチベーションに変えて、頑張っています」

Q モチベーションに関しての具体的な目標、向き合い方やトレーニングの方法が変わったとかありますか?
「自分は高校のときに相手からスカウティングされていて、自分は外からあまり打たなかったので、ピックをしたらアンダーされることが多くて、それに対応できなかった。今は外をずっと練習していて、打てるようにワークアウトをして頑張っています」

Q 仙台大附属明成の山崎一渉と一緒に日本代表としてU19ワールドカップに出場しました。今年も注目度大の彼が素晴らしいと思えるところは?
「一渉は190台後半でもポイントガードと同じくらいのボールキープ力とシュート力を持っていて、留学生ともしっかり張り合えるので、そこが他のみんなとは違うのかなという風に思います」

Q 夏に世界レベルを体感したわけですが、福岡第一で過ごした3年間で得たスキルやメンタリティで通用すると感じた部分はありましたか? 
「スキルの部分では高校のときずっと走っていたから、ワールドカップでも自分のスピードなどを活かしてプレーができたので、そこは高校の練習でやってきたことが出たのかなと思っています」

Q 世界はすごいと思ったことは?
「一渉が高校でブロックされたのを見たことがなかったんです。なのにワールドカップに行ったらめちゃブロックされまくって中で苦しんでいたのを見て、やはり世界はすごいなという風に思いました」

Q 3年間で2度優勝を経験したウインターカップで学んだことや経験で、現在の自分に生かされている、新たなモチベーションになっていることがあれば、話してもらえますか?
「2連覇してから自分の代で負けてしまい、やはりこの悔しさを知ってなかったら今の自分はないと思います。自分の代で最後負けてしまった悔しさをモチベーションに変えて、頑張っています」

Q これを見る人たちウインターカップに臨む選手たちが多く、ほんの一握りの選手以外はハーパー選手同様に敗れてしまうわけです。その時にみんなに後悔してほしくないという意味で、先輩たちからのメッセージを届けてあげたいというのがあるので、実際に試合が終わってすごく感情的になって周りのことがわからないという状況から落ち着いて、考えられるようになったタイミングで“もっとこうしておけばよかった”とか、“もっとあそこは頑張れたかもしれない”と思ったことがあったりしましたか?
「たくさんありましたね。明成戦で自分たちのプレーができなかったので、そこで自分が逆に、一度国体で一渉について結構成功したんですけど、ウインターカップではつかなかったですよ。その部分で自分が一渉についておけばなぁという風に思ったり、自分がもっとアリに退場させないよう“ファウルするな”と声をかけたり、そういう部分をしていたら勝てたなと後悔しています」

Q ゲーム中の判断では難しいところなんでしょうけど、事前の準備段階、あと20日くらいで大会に臨む選手たちにやっておけばよかったなと思うこと、プレー面だけじゃなくて、メンタリティの部分、友達との関係でコミュニケーションをもっとしておけばよかったとか、思うことはありますか?
「プレーだったら、自分が最後スリーを外したので、もうちょっとスリーを練習しておかなければなと。チームメイトともっとコミュニケーションを取ることによって、自然と試合でも取れるので、そういうことをやっておいたほうがいいなと思いました」

Q 福岡第一の後輩たち何かメッセージがあれば、ぜひ?
「自分たちが負けて3連覇できなくて4連覇というプレッシャーはないですけど、チームを信じて、井手口先生を信じて頑張れば、絶対に優勝できると思うので、頑張ってください」

Q 後輩へのメッセージを英語で。
So, last year I played in the Winter Cup and we lost but like, for everyone to give your all, give all 100, put everything on the court and just do what you can do. Everybody tries to get the chip.
「去年のウインターカップで自分は負けたけど、みんなが全力で、コート上で100%の力を出し切って、できることをとにかくやるしかない。みんなが勝利(このchipはャンブルで使うチップの意味ですが、ここでは勝利と意訳しています)を得ようとしているのだから」

Q 最後の質問です。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「今生きていることに自分は幸せを感じています」

文:青木崇

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
バスケット ボールを応援しよう!

バスケット ボールの放送・配信ページへ