人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

バスケット ボール コラム 2019年12月29日

河村勇輝(福岡第一):2年前の敗戦を糧に成長し、高い目標設定を掲げて意識も変化した3年間

ウインターカップコラム by 青木 崇
  • Line
河村勇輝(福岡第一)

「これまでの人生で一番屈辱的な日だったかなと思います。1年生のころでしたけど、今の3年生になってもずっと後悔というか、その負けを意識してきましたし、その負けがなければ今の自分はないかなと思います」

2年前の準決勝、福岡第一は福岡大附大濠に58対61で競り負けた。1年生ながら先発ポイントガードとして起用されていた河村勇輝は、一人で敗戦を背負っていた。敗戦後に号泣し、ホテルに戻ってからも試合のことが頭から消えず、自信喪失寸前のところまで落ち込んでしまう。

しかし、先輩たちの激励とこのままで終わるわけにはいけないという強い思いが、河村を変えた。練習への取り組みがよりハードになり、司令塔としてゲームの理解度をもっと高めたいという意識を持つようになる。さらに、アンダー16と18の日本代表に選ばれて国際試合の経験を積んだことは、高さへの対応という点でプラス。それは、宿敵である福岡大附属大濠とのウインターカップ決勝でも、190cmの田邉太一にフェイスガードされても「何回もそういう場面もありましたし、あまり焦りはなかったです」という言葉どおり、高さと腕の長さを生かそうとしたディフェンスにも落ち着いたゲームメイクをしていたことでも明らか。井手口孝コーチは次のように振り返る。

「田邉君がついていることよりも、次のヘルプを考えながらプレーしていましたね。胎内カップの東山戦で(周りのヘルプに)やられたらしいとあいつらが言っていましたので、その練習はちょっとやっていたから、田邉君のディフェンスよりも周りを意識していましたね。大きいほうが抜きやすいと思いますよね。(シュートを)打つことだけ考えると、なかなか難しいですけど」

31点、20リバウンド、11ブロックショットとペイント内を完全に支配したクベマ・ジョセフ・スティーブの大活躍により、福岡第一は試合開始からほとんどの時間帯で主導権を握っていた。一度もリードを許さなかったことでも、75対68というスコア以上の快勝と言っていいのかもしれない。

ただし、3Q中盤で22点のリードを奪ったとはいえ、福岡大附属大濠にオフェンス・リバウンドや速攻から立て続けに失点する状況に直面。4Q残り3分19秒で62対71の9点差まで詰め寄られ、その後のオフェンスを止められてしまうと福岡大附属大濠の追撃が続くと思われた局面で、河村は大黒柱として存在感と勝負強さを発揮する。スティーブとのピック&ロールからドライブでマッチアップしていた平松克樹を抜くと、ヘルプにきた田邉が手を上げられないタイミングでステップバックすると、ジャンプシュートは見事にリングの間を通過した。

このビッグショットは、「大濠高校さんとの試合は全部勝ってやる」という河村の気持を象徴するのであり、福岡大附属大濠の夢を砕くという点でも大きな意味があった。3Pシュートが7本中1本成功と低調ながらも、河村は2連覇をかけてライバルとの戦う決勝で10点、13リバウンド、11アシストのトリプルダブルを達成。プレッシャーのかかるビッグゲームであっても、チームを勝利に導ける素晴らしい選手であることを改めて証明した。

「簡単に言うと、人生が変わったなと。将来の夢とかも高校になって変わったことですし、ビジョン的なものがすごく広がった3年間だったと思います。とても充実していました」

福岡第一でのキャリアをこう振り返った河村は、日本代表のジャージーを着て世界の強豪と戦える選手になることを目標にしている。ハードワーカーというだけではなく、バスケットボールに対して真摯に取り組む姿勢を持ち続けながらレベルアップしていることからすれば、目標が現実のものになっても決して驚かない。サイズの不利を武器に変えられる選手として近い将来、世界のバスケットボールファンに大きな衝撃となるようなプレーを見せてくれると期待している。

文:青木崇

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
バスケット ボールを応援しよう!

バスケット ボールの放送・配信ページへ