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バスケット ボール コラム 2018年12月25日

【ウインターカップ2018 コラム】元気あふれる八王子、ムードメーカーは「セネガル版、吉本芸人」?

バスケットボールレポート by 平野 貴也
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ババカルアイダラ ジャロ選手(写真中央)

ババカルアイダラ ジャロ選手(写真中央)

スタンドを黄色に染める応援団が目立つ。東京代表チームは、随分と元気が良い。ウインターカップ2018第71回全国高校バスケットボール選手権大会は25日に第2日を行い、男子の八王子学園八王子(東京)は94-85で長崎西(長崎)を破って、ラウンド16に駒を進めた。チームカラーの黄色のシャツに、クリスマスのサンタ帽、なぜか戦隊モノ(悪役を含む)のコスプレをしている者もいる。応援団の姿は、会場にいる者なら一度は目にしただろう。

しかし、スタンドよりも元気な選手が、コートにいる。留学生のババカル アイダラ ジャロ(3年)だ。セネガル共和国の出身。201センチ、106キロの巨体を誇り、ゴール下で存在感を示すプレーヤーだが、とにかくコーチングがすごい。攻撃時には「焦るな、ゆっくり行こう」、ボールを失えば「切り替えろ、中を締めろ!」と流暢な日本語ですかさず指示を出す。ベンチに下がっても、オーバーアクションとコーチングで存在感を示す選手だ。

1回戦では、15得点23リバウンドの活躍。足を痛めたため、2回戦は10分弱の出場に留まったが、やはり存在感は抜群だった。試合は、木村圭吾(3年)の活躍で勝利。木村は、取材を受けている間にピースサインをしながら脇を通ったババカルについて「アイツには、ユーチューバーになってほしい。面白い奴。最初に会ったとき、ハンドリングが上手くてすごいと思ったけど、ゴール下のシュートは全然入らないし、走れなかった(笑)。彼は、ムードメーカー。今日もちょっとうるさいくらい。コミュニケーションが取れるので、留学生だけで(勝手に)プレーしてしまうところがないし、助かっている」と話し、そのキャラクターを教えてくれた。ババカルについて話を聞くと、石川淳一監督も「明るい、明るい、明るい。日本語もあんなに話せる奴は、いない。あれで、もうちょっと技術があったら最高(笑)。セネガル版の吉本芸人みたいな子。ただ、元気があるのは良いけど、一言、二言、多いんだよ」と笑っていた。昼食時間にクイーンの歌を熱唱し、下の階まで美声が届いたという話もあり、芸達者だ。

もちろん、ただ明るいだけではない。主力へと成長した陰には、素直な姿勢で取り組んだ努力がある。日本の食事について聞くと、ババカルは「最初は慣れてなかったから難しかった。でも、まず『食べない』って言わない。お母さんが『他人があなたに作ってくれる物は、まず食べてみなさい。人が気持ちを入れて作っているものだから』と言っていたから」と答えた。練習に対する姿勢も同じだ。技術をコツコツと習得。インターハイ後は、リバウンドだけでなく、インサイドの得点でも貢献できるように練習して来た。

「石川先生と毎日少しずつ練習して、上手くなれた。シュートなんて、最初はすっげぇ誤差で外していたけど、今はだいぶ入るようになったよ。石川先生のおかげですね」

憎めないムードメーカーは、八王子学園八王子に欠かせない存在だ。チームは、翌26日のラウンド16で、前回3位の強豪、帝京長岡(新潟)と対戦する。ありったけの元気をぶつけて突破できるか。要注目だ。

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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