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バスケット ボール コラム 2018年12月19日

【ウインターカップ2018 プレビューコラム / 桐光学園】夏のベスト8を超える成績を目指すには、チーム全体の熱量アップがカギ

バスケットボールレポート by 青木 崇
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スターターの5人

スターターの5人

11月25日の午前中に行われた練習前、桐光学園の高橋正幸コーチは「迷コーチだよ。名コーチじゃなくて迷っているコーチね」と冗談混じりに話した。インターハイでベスト8に進出したといえ、明成に36対70の完敗。全国レベルの強豪が揃う神奈川県予選を勝ち抜き、ウインターカップの出場権は獲得したものの、指揮官はチームの現状、特にメンタル面でなかなか手応えを感じられない状況に直面していた。

桐光学園はスカウティングをしっかり行い、トレーナーによるウェイトトレーニング・プログラムがあるなど、選手たちがレベルアップしやすい環境が整っている。しかし、体育館に掲揚されている団旗にある“チャレンジャー”という言葉を選手たちが理解しているのか? これこそが高橋コーチの「迷コーチ」という言葉を発した理由という気がした。

選手たちは練習を一生懸命やっているのだが、ウインターカップで勝ち上がりたいという熱意が表に出ていないように見えてしまう。大人しい選手たちの熱意を上げるために試行錯誤を繰り返しながら、高橋コーチが危機感を持つことの重要性を厳しい言葉ながらも、自信喪失とならないよう怒鳴らずに伝えようという意図は十分に感じられた。

逆に言えば、メンタルの部分で伸び代があることの証。選手たちに能力があるからこそ、インターハイでベスト8に進出できたのである。シード校として迎えるウインターカップは、初戦の相手がインターハイで勝った報徳学園か、福島南の勝者と対戦することになった。「初戦からきつい試合です」と高橋コーチが語るように、報徳学園との再戦になれば、留学生のコンゴロー・ディビッドへのディフェンス対応が勝負の分かれ目になる。

今年の桐光学園は、190cm以上の選手が4人。3年生の鈴木響希と吉田敬陽がスターターを務め、2年生の鍵谷和輝と兪龍海がバックアップする体制が整っている。留学生のいる大学生相手に練習試合を行うなど、留学生の高さに慣れる準備に余念がない。インターハイで対戦した際に26点、22リバウンドを記録した報徳学園のディビッドに対しては、鈴木響が「バンプで中に入らせないことを意識して、リバウンドを取られるのはある程度仕方ないので、みんなが囲むようにしてのボックスアウトでなんとか対応する感じです」と語れば、フロントラインでコンビを組む吉田も「中の人間がゴール下で身体を張って、ディビッドに点を取らせなければ相手も崩れると思う」と見ている。

桐光学園は初戦から厳しい相手との対戦があるといえ、鈴木悠斗キャプテンの「初戦勝てば勢いに乗れると思います」という言葉どおりのことが実現する可能性を秘めたチーム。「堅守速攻」というチームのモットーであるディフェンスからのトランジションゲームを展開する機会が増えれば、どのチームにも勝つチャンスはあるだろうし、高橋コーチもその精度を高めるための練習に力を入れている。鈴木悠が得点源としての仕事をし、関根隆慈、川戸渚、鈴木雄馬らが3Pシュートを高確率で決められるかも、上位進出に欠かせない要素と言っていいだろう。

取材日の練習はディフェンスに時間をかけていた

取材日の練習はディフェンスに時間をかけていた

シードを死守してのベスト8進出、メインコートに立つことは桐光学園にとって最低の目標。準々決勝で昨年のインターハイで負けた中部大第一にリベンジし、日本一に一歩前進したいという思いは選手たちの中にある。ただし、それを実現するためには、ウインターカップまでにチーム全体の熱量を上げなければならない。高橋コーチを迷コーチから名コーチにするためにも…。

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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