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野球 コラム 2026年11月2日

鈴木誠也、なぜゴールドグラブ賞に選出されなかったのか

MLBコラム by 山田 結軌
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笑顔で守備練習する鈴木

カブスの鈴木誠也(32)は、ナ・リーグ右翼手のゴールドグラブ賞で初受賞を逃した。メジャー5年目で初めて最終候補入りし、日本選手では2010年のイチロー(当時マリナーズ)以来、16年ぶり2人目の受賞が期待されたが、ダイヤモンドバックスのコービン・キャロル(26)が初受賞した。

鈴木は惜しかった。守備全体の貢献を得点価値に換算するFRV(フィールディング・ラン・バリュー)は鈴木が+8、キャロルが+4。平均的な同ポジションの野手より何点分の失点を防いだかを推定するDRSも鈴木が+14、キャロルが+12だった。送球によるFRVも鈴木+4、キャロル-6。総合的な守備価値と肩では鈴木に分があった。それにも関わらず、なぜ鈴木は落選したのか。

一方、キャロル受賞にも十分な根拠がある。最大の武器は守備範囲だった。OAA(平均的な野手より何個多くアウトを増やしたかを示す指標)はメジャー右翼手トップの+10。鈴木は+5だった。キャロルは右翼で152試合に出場し、351刺殺(主にフライやライナーを捕球してアウトにした回数)もメジャー右翼手最多。

鈴木は『WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)』で右膝を負傷し、開幕は負傷者リストだった。そのため、開幕から12試合を欠場。再発を防ぎながら、復帰直後は右翼守備とDHを併用されながら起用された。そのため右翼111試合、972回2/3で232刺殺だった。キャロルはより多くの守備機会をこなしながら、広い守備範囲を得票につなげた。

1年間の数字だけが、キャロル初受賞につながったわけではないかもしれない。キャロルは2024年から3年連続でOAA2桁をマーク。2025年にもゴールドグラブ賞の最終候補に入り、2026年も+10だった。スタットキャストでも2024年+10、2025年+10、2026年+10と、守備範囲でトップ級の評価を3年間続けている。

キャッチボールをする鈴木

ゴールドグラブ賞は守備指標だけで自動的に決まらない。SDI(複数の守備データを組み合わせた総合指標)が約25%を占め、残りの75%は各球団の監督、コーチによる投票だ。主催のローリングス社も「統計だけに基づく賞ではない」と明記している。

投票内容は非公開のため断定はできないが、各球団の監督やコーチが3シーズンにわたって目にしてきたキャロルの広い守備範囲と安定感が、投票時の『印象点』に積み重なった可能性があるのではないだろうか。

鈴木は対照的にメジャー移籍後最初の4年間でFRV通算-9。各球団の首脳陣にはキャロルほど守備のうまい選手、という印象がなかったはずだ。鈴木の指標は今季、一気に+8まで改善した。単年のFRV、DRS、送球ならキャロルを上回る項目も多い。一方のキャロルには、OAA、守備機会の多さ、そして3年間続くトップ級の守備範囲の高評価がアピールポイントだ。

決して、鈴木が劣っていたという結果ではない。数値的な優位では受賞しても不思議ではなかった。ただ、年間の守備価値に加え、数年間にわたって積み上げた『守備のうまい外野手』としてのイメージがある。

人間の投票が受賞の75%に影響するため、キャロルが選ばれた結果にも納得できる。鈴木にとっては、今季の守備力を安定して継続できるか。日本選手2人目のゴールドグラブ賞は来季に期待だ。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
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