村上宗隆、夢の実現は挑戦のはじまり

ホーム球場、レートフィールドでポーズを決める村上

晴れやかな表情だった。自分のパーソナリティを発揮した微笑ましい入団会見。ホワイトソックスと2年契約を結んだ村上宗隆（25）は、親指を上げるサムアップポーズを何度も作った。当初、見込まれた長期契約ではなく、短期契約での勝負を選んだ。

「いろいろ難しかったですね。いろいろな決断がありましたし、いろいろな葛藤がありましたけど、やれることはやりながらトレーニングも米国で3週間できていました。環境にも慣れながら、場所は違いますけど、言葉とか日常生活は問題なくできていたのでそれも楽しみながらやっていました」

約3週間、カリフォルニアとニューヨークで過ごしながら、代理人のエクセル・スポーツ・マネジメント社のケーシー・クロース氏と密にコミュニケーションを取った。期待した長期の大型契約ではなかったかもしれない。

幼い頃からメジャーリーグに憧れ、数年前からは夢は現実的な目標になった。しかし、150億円とも200億円ともいわれた契約規模のオファーは届かなかった。村上の「葛藤」という言葉に、少なからず悔しさがあったことがうかがえる。

入団会見で拳を掲げる村上

年俸は平均1700万ドル（約26億5000万円）の2年。これは、パイレーツと年総額2900万ドル（約43億5000万円）で合意した、3年連続で2桁本塁打している一塁手、ライアン・オハーン（32）よりも高い。

年齢の違いはあるが、実績のあるドジャースの三塁手マックス・マンシー（35）は今季年俸1450万ドル（約22億5700万円）だ。この2人だけの比較で言えば、村上の年俸は決して悪い評価ではない。村上は三塁での守備力を不安視され、多くのチームが一塁手として獲得を検討していた。

一般的に一塁手の年俸は他のポジションと比べるとリーズナブルになりやすい。その背景からすれば、村上の年俸は高評価といっていい。確かに年数は当初、予想された5年以上の長期契約にはならなかったが、2年間で新たな環境、メジャーの投手に慣れ、レベルアップすればいい。

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「僕の目標は勝つことです。成長することです。挑み続けることです。どんな相手だろうと、立ち向かい、諦めません。この球団に最大限、貢献したいと思います」

野心と反骨心を表現するような力強い入団会見でのスピーチだった。3連続100敗以上のチームは、2026年にポストシーズン争いに加わる可能性は低い。あくまで再建モードだ。しかし、村上は安定して出場機会を得ることで自分の実力を発揮しやすい環境といえる。

「（契約期間が）短くても、長くてもしっかり野球と向き合って成長することを目標に、（メジャーに）こようと思っていた。そこ（2年契約）に驚きはなかったですし、まだまだ僕の人生は続くので、しっかりここでスタートして頑張っていきたい」

メジャー移籍は夢の実現同時にホワイトソックスの2年間は、己の価値を高め、証明する挑戦の時間となる。

文／写真：山田結軌（MLBジャーナリスト）