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野球 コラム 2025年12月19日

なぜ村上宗隆の移籍先はまだ決まらないのか

MLBコラム by 山田 結軌
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ウインターミーティングで村上の情報は乏しかった

ポスティング期限の12月22日(日本時間23日)が目前に迫る中、ヤクルトの村上宗隆の移籍先は依然として決着していない。

当初は早期に大型契約が決まるとみられたが、なぜこの時期まで交渉を続けているのか。『ESPN』や『MLB公式サイト』などの情報をもとに、その背景を探る。

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村上の最大の武器は、25歳という若さとパワー、潜在能力だ。一方で、この若さは球団側に「巨額の長期契約」というリスクを突きつけている。

村上と代理人は、その将来性を背景に6年以上の長期契約を望んでいる、とされる。『トレード・ルーマーズ』の予測によれば、契約規模は8年・1億8000万ドル(約270億円)に達するとされ、『ESPN』のパッサン記者は2億ドル(約300億円)を超える争奪戦の可能性を指摘していた。

しかし、メジャー経験のない選手にこれほどの長期契約を与えることに対し、多くの球団が慎重な姿勢を崩していない。それが、まだ村上の契約が決まらない大きな理由ではないだろうか。

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移籍交渉が難航している要因の一つに、守備位置の問題がある。『MLB.com』のスカウト評によれば、村上の三塁守備はメジャー水準では厳しいとされ、多くの球団が一塁手、あるいはDHとして評価している。

また、過去の日本人パワーヒッターの苦戦も影響している。かつて日本で活躍した長距離打者たちが、日本での数字がそのままメジャーで再現されることへの疑問符が消えていない。

特に95マイル(約153キロ)を超える速球や、鋭い変化球への対応力について、一部の球団は25歳という若さを加味しても適応に時間がかかると見ているようだ。それは、過去の日本選手たちが証明している。

2023年WBCで練習時の村上

市場全体の動きも村上の決断を遅らせている。現在、フリーエージェント(FA)市場では、レッドソックスからオプトアウト(契約破棄)したアレックス・ブレグマンの去就が決まっていない。

村上の獲得候補に挙がる球団は、まず実績のあるブレグマンやカイル・タッカー(カブスFA)の動向を見極めてから、次の補強に動く算段だ。大物・目玉野手の停滞が連鎖的に市場を固まらせており、村上の交渉にも影響している。

移籍先の筆頭候補とされていたのは、ヤンキース、メッツ、レッドソックス、フィリーズ、レンジャーズなど資金力のあるビッグマーケットのチームだった。しかし、各球団の状況は刻一刻と変化している。

フィリーズのデーブ・ドンブロウスキー編成本部長は「捕手を除いて、野手のレギュラー陣は万全」と発言した。これは、現状で村上のような高額な野手を加える意向が低いことを示唆している。

また、メッツは先日、ユーティリティープレイヤーのホルヘ・ポランコと、2年4000万ドル(約60億円)で合意した。メッツはポランコを一塁手やDHとして起用する見込みで、村上の入る余地が狭まった可能性は否定できない。

代理人はオプトアウト条項(契約途中で破棄できる権利)を盛り込むことで、数年後に市場価値を再証明できる契約も視野に入るかもしれない。日本の三冠王に残された時間はあと4日だ。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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