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野球 コラム 2025年11月21日

今永昇太、メジャー3年目の挑戦とFA

MLBコラム by 山田 結軌
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春季キャンプで実戦登板する今永

今永昇太投手(32)が、カブスのクオリファイング・オファー(QO)を受諾し、1年2202万5000ドル(約34億5000万円)で残留する道を選んだ。

球団と本人がそれぞれの契約延長権を行使せず、一度フリーエージェント(FA)市場に出た上での決断。カブスにとっては先発投手を1年確保できたこと、今永にとっては2026年オフに再びFAとして勝負するため、価値の再評価を勝ち取るための1年となる。

メジャーリーグ中継2025 ベストゲーム

MLB挑戦から2シーズン。今永はレギュラーシーズン通算24勝11敗、防御率3.28の成績を残している。2024年は15勝3敗、防御率2.91、174三振でオールスターに選ばれ、サイ・ヤング賞投票でも5位に入った。

2025年も前半は左太もも裏の負傷で一時離脱しながら、9勝8敗、防御率3.73の成績。しかし、終盤の12先発(69回2/3)では防御率5.17と打ち込まれ、9イニングあたり2.6本のホームランを浴びた。初のポストシーズンでも2度の登板で防御率8.10と結果を残せなかった。

チーム全体で見ても、今永の残留が持つ意味は重い。カブスは2025年に92勝70敗でナ・リーグ中地区2位となり、ワイルドカードからポストシーズンに進出。ワイルドカードシリーズを制したが、地区シリーズでブルワーズに3勝2敗で敗れた。

打線の中心だったカイル・タッカーはQOを拒否してFA市場に出た。長打力ある外野手の去就が不透明な状況で、先発ローテの柱を1人確定させたことは、攻撃陣の再編と並行して投手陣を整える大きな前提条件になったはずだ。

今永側から見ると、QO受諾は新たな複数年契約を急がない選択でもある。現行の労使協定は2026年12月1日に失効予定で、サラリーキャップ導入案などを巡ってMLB機構と選手会の溝が深まり、2027年に向けたロックアウト(シーズン中断)の懸念もある。

少なくとも2026年オフにはFA市場へ出る。来季、33歳を迎える先発左腕として、パフォーマンス次第で新たな契約で年数や総額が大きく変わる。2026年は自分の価値を上書きするシーズンになる。

オープン戦で先発へ準備する今永

では、来オフに勝負できる成績を残すために、今永に何が求められるか。第一は健康だ。2025年の左太もも負傷以降、球速が落ち、直球の球質が低下したことが、本塁打増加の一因と分析されている。ベテランといわれる領域に入る投手として、負傷リスクの低さを示すことは不可欠だ。

次の課題は、被本塁打の改善。今永はメジャーのボール、登板間隔、長打を狙う打者のスタイルに適応しながら、ストライクゾーン上部のストレートで空振りを奪う投球で勝負してきた。相手打者が今永独特の低いリリースポイントと回転効率の高い直球に慣れてきた。敵の順応を上回る進化と成長が求められる。

カブスにとって、今永のQO受諾で一定の信頼を置ける先発左腕を確保した。一方の今永にとっても、1年限定で自らの価値を証明し直すチャンスを選んだ意味は大きい。2026年オフ、労使交渉の緊張感が高まる中で、どれだけ説得力のある実績を重ねられるか。

カブスのローテーションを支え、ポストシーズン進出を目指しながら大きな契約をつかむため、メジャー3年目の挑戦が控える。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

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@YamadaMLB

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