人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

野球 コラム 2025年11月5日

大谷翔平、主人公が実現する次の世界一は

MLBコラム by 山田 結軌
  • Line

春季キャンプで練習する大谷

投手と打者、二刀流選手としてワールドシリーズ(WS)連覇に貢献した。ドジャースの大谷翔平(31)は2度目のポストシーズンで打者としては17試合、打率.265、8本塁打、14打点、1盗塁、投手としては4試合(20回1/3)、2勝1敗、防御率4.43だった。

「すごい展開でしたけどね、本当に全員がいい野球をして最後、素晴らしい勝ちだったなと思います」

第7戦後、延長11回の激闘を終え、喜びと安堵の表情でインタビューに答えた。

「最後、悔しい形で打たれてしまいましたけど、少しでも長く(イニングを投げて)後ろにつなげるように、という思いでマウンドに上がっていたので(点を)取られた後も、なんとか打線の一人として、一生懸命プレーしようとは思っていました」

第4戦で93球を投げてから、中3日の強行先発。3回1死一、三塁でビシェットに3ランを打たれた。思わず両手を膝につき、がっくりと落胆。2回1/3、51球でマウンドを降りた。

だからこそ、勝利後にも「悔しい」という言葉が出た。それでも、投打で全力を尽くして勝負できた7試合は、大谷のアスリートとしての心を満たすものだった。昨季は、WS第2戦で二盗を試みた際に左肩を亜脱臼。第3戦以降の3試合は、ギリギリの状態で出場を続けていた。

「まず、ゲームに100%(の体調)で臨めたのが、なんというか一番楽しかったです。去年は、(試合に)出て(ダグアウトの)後ろに下がって、(左肩を)温めて、マッサージしてもらって、注射してみたいなのを繰り返していたので、あまり野球をやっているなという雰囲気がなかったので、今年は全然違うワールドシリーズになっていたのかなと思います」

春季キャンプ中の大谷

昨季はDHで打席に立つ以外は、次の打席に立つために治療、ケアに時間を割いていたことを明かした。今季は、第3戦で延長18回、6時間39分の試合では9度の出塁。体力的にタフな困難を乗り越えた。すべてを懸けて戦うことができた。そして、次の目標も明確になっている。

ロサンゼルスでの優勝パレード。オープンバスに乗りながら、インタビューを受け「ポストシーズンに2度出場して、2度ワールドシリーズ制覇、これはもう当たり前か?」と聞かれた。

「もう3回目に向けて切り替えているので」

WSの2連覇を成し遂げてから2日後。すでにV3への意欲を高めていた。V2の達成感や歓喜の一方で、大谷が自分のパフォーマンスにすべて納得しているかといえば、そうでないかもしれない。

ワイルドカードシリーズで2本塁打、リーグ優勝決定シリーズとWSでは3本塁打ずつ。8本塁打は、ドジャースのポストシーズンでの最多本塁打タイだった(2020年、シーガーに並ぶ)。

しかし、フィリーズとの地区シリーズでは、打率.056(18打数1安打)だった。左腕の好投手の前に打棒を封じられた。だからこそ、大谷にはポストシーズンで投げるメジャー屈指の好投手たちを打ち崩すことに燃えているはずだ。

そして、身近な存在も心の中ではライバルに思っているかもしれない。第6戦で先発勝利、最終戦では中0日でリリーフした山本由伸投手(27)の存在だ。

「間違いなく全員が彼が世界一のピッチャーだと、現時点でそう思えるような、それだけの実力を存分に試合の中で示してくれた素晴らしいピッチングだった」

仮に…もし、来季同じような状況でWS第7戦に先発したら。大谷は完投勝利を挙げ、決勝ホームランを打つことをイメージしているかもしれない。そして、いつも“主人公”のヒーローは、実現してしまいそうな気がする。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
野球を応援しよう!

野球の放送・配信ページへ