中継ぎ転向でも、心に持ち続けた〇〇への想い…小笠原慎之介 密着Dが明かすMLB挑戦1年目の裏話～後編～

小笠原慎之介投手

皆さんこんにちは！「ドキュメンタリー〜The REAL〜小笠原慎之介」の制作を担当したフリーディレクターの岡田昌尚と申します。初回が26日に放送されました。ご視聴いただいた皆さん、ありがとうございました！

このコラムでは、密着取材での裏話を記していきます。番組をご視聴後の方も、これから視聴される方も、どうぞお付き合いください。

２度目の現地取材は９月。中継ぎとしてMLBに昇格して1か月ほどが経った頃でした。ワシントンD.C.で７連戦の日程。自宅やホームスタジアムでどのように過ごしているのかを取材させてもらいました。(今回は７月の取材と違って事前の予定通りで、精神的にも安定した出張になりました…笑)

本拠地へは徒歩で通勤（本編の映像より）

本拠地ナショナルズ・パークへ、慎之介さんは徒歩通勤。10分ほどの道中、カメラを向けていると…本人も初体験の出来事が！こちらは番組でご確認ください。

球場入り後のルーティンも確立してきたとのこと。クラブハウスのジャグジーに入り、芸人さんのハリウッドザコシショウの動画を見て爆笑することが日課なんだとか。日本から取り寄せた駄菓子を配り、チームメイトとの親交を深める姿もありました。

7月の取材時は敵地だったので、この時初めて本拠地のマウンドに立つ慎之介さんを生で見ることができました。ナショナルズ・パークはブルペンが外野にあります。試合中そのブルペンを注目して見ていたのですが、慣れないリリーフ待機の中でもだいぶ過ごし方を掴んでいるようでした。登板時は投球１０球ほどでブルペンを後にすることもあるとか。MLB仕様の登場曲・Coldplayの「Clocks」を背に、外野から走ってマウンドへ。本拠地ファンからの大きな声援は期待の現れだと感じました。

ナショナルズ・パークでの登板時（著者提供）

番組には入れることができなかった慎之介さんの思いがあります。それは『メジャーでの先発登板』です。

8月14日、中継ぎでMLB初勝利をあげた直後に行ったテレビ電話でのインタビュー。
「『いつかは先発を』という気持ちは心のどこかにはあるので、そのためにも今の与えられたポジションでしっかりやれることをやりたい」

MLB初勝利直後のテレビ電話で（本編の映像より）

来季は2年契約の最終年。置かれる立場は今年よりも厳しくなります。それでも今季MLBで得た経験も沢山あります。マイナー降格、長期離脱、中継ぎ転向など…波瀾万丈な一年は慎之介さん本人と通訳さんしか分かりません。ただその一部なら、番組を見てもらえれば知ることができると思います。

一歩踏み出す“勇気”と、我が道を行く“決断” を映した「ドキュメンタリー The REAL 小笠原慎之介 勇気と決断のMLB挑戦記」を是非ご覧ください！

（番組宣伝の映像より）

ここからは私自身の話です。今年４月よりフリーディレクターになり、５年ぶりにテレビ番組制作も行っています。2021年ドラゴンズの職員になってからはYouTubeを主とした配信コンテンツを制作していました。撮影、編集、テロップ制作、BGMの選定など…全て一人で役割を担い、動画を公開していきます（※もちろん球団内の他者が完成動画の内容のチェックは行います）

一方、テレビ番組制作は分業制。今回は、以前に出会った心から信頼を寄せる各分野のスペシャリストにお力を借りました。その一人「構成」で入っていただいた方は、スポーツを中心としたドキュメンタリー映像の取材・演出を長年手掛ける私の師匠。かつて、密着取材のイロハを学ばせていただき、ドキュメンタリーの在り方を教えていただきました。今回５年ぶりにご一緒し、意見や助言をいただきながら番組を作りました。師匠との次回の機会が訪れるように、その時にはもっと成長姿を見せられるように、日々精進しないといけないというモチベーションを得ることができました。

ナショナルズ・パークで（著者提供）

そして、私の師匠が書いたナレーション原稿を読んだのは、「ハンバーグ師匠」ことスピードワゴンの井戸田潤さん。私にとっては、中学生の頃から好きなお笑い芸人の一人です。2016年全国放送で披露した「ドラゴンズ漫才」には心を掴まれました。

近年ではドラゴンズ仕事でご一緒することが増え、ファン心を悟られないように接しています…笑 バラエティ番組などで見せるお姿とはひと味違った、ナレーション向きのお声も必聴です。

井戸田さんが誕生日に贈ったダルマ

今回、ナレーションが井戸田さんだからこそ番組で扱えたエピソードがあります。昨年27歳の誕生日に贈られた、高級ガラス製品のブランドが作った“だるま”にまつわる秘話。こちらも番組でご確認ください！

試合前（筆者提供）

尺などに縛られないYouTubeなどの配信コンテンツの良さもあります。手間暇かけて洗練された映像を見ることができるテレビ番組の魅力もあります。小笠原慎之介投手の番組制作を経て、改めてフリーディレクターとして、“学ぶべきこと”や“実現したいこと”が沢山あると感じることができました。

またこういったご縁があれば、J SPORTSさんで番組制作をさせていただきたいですし、コラムも掲載いただきたいです。その時は皆さん、どうぞご贔屓に。お読みいただき、ありがとうございました！

文　岡田昌尚（フリーディレクター）