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レギュラーシーズン中、山本由伸のブルペン投球
ただの1勝ではない。流れ、空気、勢い。すべてをドジャースに引き込んだ。山本由伸投手(27)はワールドシリーズ第2戦に先発。9回で105球を投げ、4安打1失点、無四球、8三振の好投で対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。
ナ・リーグ優勝決定シリーズのブルワーズとの第2戦から、ポストシーズンで2試合連続での完投勝利を挙げた。ポストシーズンで2試合連続完投は、2001年のカート・シリング以来だった。
「本当に結果的にすごくうれしく思いますし、立ち上がりは球数がたくさんいっただけに最後までいけるとは思いませんでしたけど、しっかり1イニングずつ投げていけたので結果につながったと思います」
序盤はやや慎重だったのか、5回までは各打者に対して初球ボールが9度あった。しかし、尻上がりに調子を挙げた6回以降の12打者に対しては、10度の初球ストライク(初球ボールは2打者のみ)と積極的にストライクを投げた。
「基本、僕のピッチングスタイルは、ストライクゾーンにどんどん投げていく。もちろん、狙うコースとかはありますけど、基本はどのボールもストライクゾーンを狙って、思い切り投げていくというスタイル。特に変えたことは全くないですけど、自分のピッチングに集中しました」
ブルージェイズ打線は、三振が少ない粘り強い打線(レギュラーシーズン1099三振はメジャー2位の少なさ)。ゴロアウト11、フライアウト3と打たせて効率よくイニングを重ねた。
1回に23球を費やすが、9イニングで105球。3回1死1・3塁でカークに中犠飛を打たれ、1-1の同点とされるが、その中飛を含め、20打者連続アウトでゲームセットを迎えた。20連続アウトは、ドジャースの球団新記録だ。
レギュラーシーズン中、練習中の山本
ドジャースは第1戦に4−11で大敗。敵地で2連敗は絶対に避けたい一戦だった。仮に敗戦すれば、その空気をトロントからロサンゼルスまで移動時間、約5時間半のフライトで抱え、さらに試合のない26日(日本時間27日)もその感情がつきまとう。
そして、第3戦へのプレッシャーは増幅される。だからこそ、山本が第2戦に勝利した意味、意義は大きい。しかも、圧倒的な投球内容で封じたことは、チームを勇気づけ、前進させるには十分だ。
「特に落とせない一戦だったので、なんとかここで1個取って、1勝1敗でロサンゼルスに戻れたら、もっといい流れになると思っていたので、とにかくこの試合に集中してました」
ドジャースの先発陣はどの投手もエース級だ。その中でも今の由伸は、真のエースにふさわしい。
舞台とチーム状況、投球が右腕の勝ちを際立たせている。昨季、ドジャースと結んだ契約はメジャーの投手史上、最高契約。12年は投手の契約として史上最長、総額3億2500万ドル(約465億円)は最高額だ。その大型契約の真価を証明している。
第1戦はブルージェイズが持ち味としている打線の粘りとつながりで勝利した。第2戦はスーパーエースの歴史的な好投でタイに戻した。頂上決戦にふさわしい実力のぶつかり合い。ドジャースはWS連覇に向け、大きく、力強い1勝を挙げ、ロサンゼルスに帰る。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
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@YamadaMLB
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