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野球 コラム 2025年10月23日

岡本和真が挑む「壁」

MLBコラム by 山田 結軌
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2023年3月、WBC準決勝前にマイアミで打撃練習する岡本

巨人の岡本和真内野手(29)が22日、ポスティングシステムで今オフにメジャー移籍することを表明した。

そのニュースはすぐさま、米メディアでも拡散された。移籍先はどこか。契約規模はどうなるのか。注目度は高く、日本のみならず米国でも話題を集めることは間違いない。12月上旬に開催されるウインターミーティングから、年末にかけて、右打ちの日本内野手の移籍先チームが決定するだろう。

「ずっと行きたい気持ちはあった。1軍で試合に出るようになってから、(契約更改)交渉の場でそういう気持ちがあります、っていうのはずっと(球団幹部と)話させてもらってました」

日本選手の右打者としての最多本塁打は、今季のカブス・鈴木誠也外野手(31)が放った32本。そして、日本の内野手は、苦労してきた歴史がある。

2004年、メッツ1年目の松井稼頭央は、遊撃で23失策。114試合で打率.272、7本塁打、OPS(長打率+出塁率).727だった。西武時代にトリプルスリーを達成するなどパワーとスピード、確実性を兼ね備えた当時の日本最強内野手でもルーキーイヤーは、メジャーの環境に苦しんだ。

投手の球速と変化球、守備では天然芝と硬い土質、速い打球、さらに走者のスピード。そして、常に厳しいファンとメディアがいるニューヨークという土地柄が影響した。

また、2005年にホワイトソックスで1年目を過ごした井口資仁は、つなぎの2番打者としてチームのワールドシリーズ制覇に貢献。右打ちや、走者がいる場面では「待て」のサインが出るなど数々の制約が課された事情があった。その中で135試合に出場、打率.278、15本塁打、OPS.780の成績を残した。

二塁の守備では14失策だった。「日本内野手としてのシーズン最多本塁打」は2006年、ホワイトソックスの井口がマークした18本。選手のタイプや時代は異なるが、岡本はまずこの「18」が日本内野手として、一つの指標となる。

さらにOPSとしては、2005年の井口がマークした.780が日本内野手としての最高だ(100試合以上出場)。内野手に限らず、投手も外野手も「日本時代の成績そのまま」1年目から活躍できた選手は、そういないのではないだろうか。

2023年3月、WBC準決勝前にマイアミで守備練習する岡本

「もちろん厳しい世界だっていうのは分かっていますし、いろいろな日本に残った方がいいとか厳しい声もあるでしょうし、ただそれは自分が行ってみないと分からないことですし、やってみないと分からないので、そういうのも承知の上で勝負したい思いです」

大都市球団のメッツとヤンキースは、一塁手か三塁手に絶対的なレギュラーが不在、スタースラッガーが不在、フリーエージェント(FA)になる選手がいるため補強が必要な球団だ。

マリナーズは三塁スアレスと、一塁ネイラーともに今オフはFAになる。パドレスは一塁が開く見込みで、ドジャースは三塁のマンシーが契約最終年を迎えている。

「厳しいと思うんですけど、どれだけ戦えるのか、勝負したいなと思います」

代理人は、すご腕で知られるスコット・ボラス氏(72)が務める。相場よりも大きな契約をまとめる、という評判はボラス・コーポレーションが独自のデータ解析で選手を分析し、真の価値を算出して、長所を売り込むことができるから。

「ただ勝負したい気持ちがあった」と海を渡る決意をした。巨人の4番であり、日本を代表するスラッガーが、世界の才能が集まるメジャーで実力を試す。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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