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皆さんこんにちは!今回、「ドキュメンタリー~The REAL~小笠原慎之介」の制作を担当したフリーディレクターの岡田昌尚と申します。このコラムでは、密着取材での裏話を記していきたいと思っています。よろしければお付き合いください!
彼と出会ったのは2021年。私はこの年の4月より中日ドラゴンズの球団職員になり、球団公式YouTubeの制作を担当していました。慎之介さんは開幕ローテを勝ち取り、初の規定投球回に到達した年。充実のシーズンを送る中で、撮影に興味を示し協力してくれたこともあり、よく話すようになりました。
(YouTube中日ドラゴンズ公式チャンネル)
2021年5月27日公開 【 #Dragons_Inside 】選手がカメラを持ったら…ダダすべり?なインタビューが撮れた!?意外な素顔も!
その後良い時も苦しい時も、撮影に協力してくれた慎之介さん。2025年シーズン、彼は長年の夢であったMLB挑戦の道を選びました。私自身も今年、フリー転身という新たな一歩を踏み出しました。決断の理由は色々とありますが、その一つには「小笠原慎之介の夢舞台での一年を追いたい。ドキュメンタリーVTRを作りたい」という思いがありました。その思いを形にしてくださったJ SPORTSさんには大変感謝しています。
撮影は今年の正月から。移籍先が決まっていない中、沖縄での自主トレへ出発する荷造りをしている自宅にお邪魔しました。代理人からいつ連絡があっても良いように、沖縄からでも渡米できる準備も。入団会見用のスーツは、どの球団カラーになっても良いシンプルなものを選んでいました。結果的に球団SNSでの発表のみとなることは露知らず、、、
番組が正式に決まったのは4月の中旬。アメリカ現地での1回目の取材は7月でした。慎之介さんは開幕直後に右脇腹を痛めて故障者リスト入りで、リハビリ期間は球団から取材の許可が下りず、段取りが整ったのはナショナルズ傘下3Aロチェスターに復帰後の7月に入ってから。ホーム6連戦に狙いを定め、航空券の手配も完了。慎之介さんが借りたてのロチェスターの家に泊めてもらうお願いも取り付けた、その直後でした。慎之介さんかメッセージが!
「チーム状況の兼ね合いで登板が飛んでいます。チームが変わる可能性があります」
カージナルス本拠地 ブッシュ・スタジアムにて(写真:筆者提供)
およそ60時間後、彼はMLBデビューを果たします。私は早朝自宅で画面越しに観戦し、その日の夕方渡米しました。そのままナショナルズに帯同すると慎之介さんから連絡をもらったので、行き先をロチェスターからセントルイスへ変更。この数日は様々な可能性を考え、スマホをずっと握って検索しまくりました…
私にとって2018年の大谷翔平選手MLB移籍初年度のスプリングトレーニング取材以来のアメリカ。前回は一人で渡米しましたが、現地カメラクルーと合流したので集合地まで行けば安心でした。しかし、今回は全て一人での取材。英語の勉強を疎かにしていた過去の自分を悔いながら、翻訳アプリ頼りの旅となりました。シカゴに降り立ち、アムトラックという高速電車で5時間近くかけてセントルイスへ。道中はその日泊まるホテルを探したり、取材の想定をしたりしていたらあっという間。USBポートがあったため、スマホの充電が減らなかったことが救いでした。
取材カメラ ブッシュ・スタジアムにて(写真:筆者提供)
慎之介さんとの再会は球場のクラブハウス。クラブハウスでは原則インタビュー以外の撮影がNGのため、その模様は映像で残せませんでしたが、私はかなりハイテンションだったと思います。無事慎之介さんに会うことができたことの安堵で…苦笑
その後の取材で撮影できた映像はぜひ番組で。ほとんど語られていない長期離脱の原因、リハビリ期間中に球場外でやっていたこと、さらにMLB2度目の先発直後の「マイナー降格」の真実など、見どころ盛りだくさんです。1時間番組だからこそできる、長尺インタビューも必見。約10秒の沈黙もノーカットでお届けします。その後に発せられた「僕は〇〇が好きなんだと思います」に、私は心が震えました。
遠征先の宿舎でインタビュー / 10秒の沈黙の末、発した言葉は…(本編の映像より)
「MLB挑戦記」という番組タイトルを付けさせてもらいました。激動の一年の中身は慎之介さん本人と通訳さんしか分かりません。ただその一部なら、番組を見てもらえれば知ることができると思います。『23試合1勝1敗 防御率6.98』 今季成績の数字を見ただけでは分からない挑戦の歩みを番組で確認してください。慎之介さんのことをあまり知らない方でも、長年のドラゴンズファンの方でも、楽しめる内容になっています。私にとって彼の言葉の数々は、自分の価値観や人生観を見つめ直すきっかけになりました。
ナレーションを担当した井戸田潤さん(写真:J SPORTSスタッフ提供)
ナレーションは慎之介さんとの親交が深いスピードワゴン井戸田潤さんに担当していただきました。バラエティ番組などで見せるお姿とはひと味違った一面を耳にすることができます。さらに、ナレーションが井戸田さんだからこそ明らかになったエピソードも!
番組の初回放送は10月26日(日)午後5時30分~、放送チャンネルはJ SPORTS 3です。(再放送あり)
コラムは続きます。次回は2度目の現地取材での裏話を記したいと考えています。番組と合わせて、またお付き合いください!
ブッシュ・スタジアムで(写真:筆者提供)
文/写真 岡田昌尚(フリーディレクター)
岡田昌尚
1986年2月1日生まれ。愛知県名古屋市出身。キー局制作会社で10年間勤務し、2021年4月中日ドラゴンズに入社。25年4月よりフリーで映像制作などを行う。
テレビ制作では、旅・バラエティ番組のADを経て、スポーツ番組を担当。2016年頃から長編ドキュメントVTRを制作するようになり、密着取材の経験を積んだ。中日ドラゴンズでは、未開拓であった動画コンテンツの制作・発信に従事。22年には球団初となるドキュメンタリームービーを制作した。最近ハマっているYouTubeチャンネルは『うじとうえだ』。
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