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佐々木朗希(ドジャース)
ミルウォーキーの『アメリカンファミリー・フィールド』で行われたナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ第1戦は、先発のブレイク・スネルが8回1安打無失点、10奪三振無四球と無双ピッチングを披露したドジャースが2-1で先勝した。
ドジャースは8回を打者24人で抑えたスネルの好投に加え(3回に単打を許したが、走者は牽制死)、フレディ・フリーマンにこのポストシーズン第1号本塁打&初打点が出るなど、シリーズ第2戦以降へ向けポジティブな収穫はあった
また、大谷翔平に安打は出なかったが、結果的に押し出しの決勝点につながる申告敬遠を引き出すことで存在感を示しており、この点も広義ではポジティブな収穫と言える。だが、この第1戦はいくつか不安要素も露呈するゲームとなった。
◆試合結果
ドジャース|0 0 0 0 0 1 0 0 1|2
ブルワーズ|0 0 0 0 0 0 0 0 1|1
試合全体を振り返り、真っ先に思いつくのは、10月に入り新守護神として獅子奮迅の活躍を見せてきた佐々木朗希の乱調である。スネルからバトンを引き継ぐ形で、9回に登板した佐々木は、制球が定まらず、速球も100マイル台に到達しないなか、2/3回を投げ、1安打2四球1失点としたところでお役御免となった。
この急造クローザーが23歳のルーキーであることを考えると、ここ数試合が出来過ぎだったのであり、今回の躓きは致し方ないと言えなくもないが、佐々木がパーフェクトな3回を投げた現地9日のフィリーズ戦では、投じた36球のうち26球がストライクだったのに対し、今回は22球のうちストライクが10球のみだったこと、特にフォーシームのコマンドが良くなかった点は、大きな懸念点と言えるだろう。
そしてもう1つは、打席に立ったとき以外のフィールド上にいるテオスカー・ヘルナンデスである。この第1戦で、最もメモラブルな瞬間は、4回表のドジャースの攻撃で、一死満塁の場面で起こった8-6-2のダブルプレーである。
マックス・マンシーの放った大飛球に対し、ジャンピングキャッチを試みたブルワーズの中堅手サル・フレリックがグラブで本塁打を阻止しつつ、フェンスに跳ね返った落ち際のボールをノーバンで捕球したため、ドジャースの走者が判断を誤ったことで発生した。
取れるはずだった先制点を逃しながらも、スネルが淡々と快投を続けて相手に流れを渡さなかったことが、ドジャースにとって大きな勝因となったわけだが、この併殺プレーの際、ドジャースは少なくとも三塁走者が生還することで1点は取っておくべきだったと言うべきだろう。
この際、三塁走者はテオスカーであり、タッチアップのタイミングでスタートを切っていても楽々セーフになるべきだったのだが、フィールドを俯瞰するカメラでリプレイを見ると、テオスカーは最初に中堅手のグラブにボールが収まりかけたタイミングでスタートを切りつつ、数歩進んだところで一旦帰塁し、その後、再スタートを切っていることが分かる。
ルール上、タッチアップの場合、飛球が野手に最初に触れた時点で離塁できる。この走塁のもたつきが本塁でのフォースアウトという結果を産んだのだが、ヘルナンデスと言えば、このポストシーズンでは何度か緩慢な守備で不必要な失点の原因を作っているのは、記憶に新しい。
彼の場合、打席での活躍により、そうしたミスを帳消しにするか、あるいはそれを上回る生産性をチームに提供するので、何となくお咎め無しという感じになってきたが、第1戦を見る限り、緻密な野球を得意とするブルワーズとのシリーズは、タイトな勝負が続きそうな様相を呈している。
ブルワーズはフレディ・ペラルタ、ドジャースは山本由伸とエース右腕対決となる第2戦以降、佐々木の安定感、そして打席以外のフィールド上のテオスカー(彼の場合、ダグアウトでは陽気な盛り上げ役としてチームに貢献しているので、こういう言い回しになる)というリスクは、このシリーズの行方を左右する要素になりそうである。
ちなみに、『MLB.com』によると、MLBでは「少なくとも過去35年間、ポストシーズンで、8-6-2のダブルプレーが記録されたことは一度もなく」「それ以前では、公式スコアラーは、こうしたプレーを記録する際、外野の3ポジションを区別していなかった」とのことである。
J SPORTS 編集部
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