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シティフィールドに登場した小笠原
8月に2度目のメジャー昇格を果たしてから、ナショナルズの小笠原慎之介投手(27)はリリーフとして定着しつつある。
2年契約の1年目はマイナーでの開幕。右脇腹を痛め、負傷者リスト(IL)入りすると復帰は6月の終わりだった。7月に初昇格するが、2度の先発で結果を残せずにマイナー降格。8月の再昇格からは、中継ぎに配置転換された。新たな役割にやりがいを感じている。
「いろんな手段を使ってこいつならできるんじゃないか、って信じてくれたりとかそういう思いを(チームから)感じた。先発じゃなくてもチームから求められたら、しっかりそこで仕事するしかない。うれしかったですね」
メジャーのリリーフ投手は100マイル(161キロ)に近い球を投げるパワーピッチャーが多い。直球の平均急速は91マイル(146.5キロ)。力で押すタイプではない。カーブやチェンジアップなど緩急を駆使して、打者に立ち向かう。
複数イニング、連投。その役割は、さまざまだ。9月15日からは、3連投もこなした。15日のブレーブス戦で36球(2イニング)。普通は、この球数なら連投はない。しかし、16日にダブルヘッダーが組まれていたため、1イニングを投げ、1安打無失点に抑えた。
メジャーでは優勝争いなどの状況でない限り、レギュラーシーズンでの3連投はほとんどない。しかし、小笠原は17日にもマウンドに送られた。疲労もあったのか、1回5安打3失点と打ち込まれた。だが、首脳陣から意外な言葉をかけられた。
「点取られちゃいましたけど、(連投であっても)成績が出てないので本当に申し訳ない、みたいな感じで言ったら『とりあえずもう3連戦の3連投目はそんなのは期待してないから』と。『とにかく無事に投げてくれればそれでいい』と言われたんです」
小笠原にしては意外な言葉だった。失点したことは、決して投手として、チームとして好ましいことではない。だからこそ、「申し訳ない」という気持ちにもなる。それが3連投だろうが、そのメンタルになるのは、投手として自然のことだろう。
だが、ダブルヘッダーなど中継ぎ投手陣に負荷がかかっていた状態で、誰かがその「しわ寄せ」をカバーしなければならない。その役割が小笠原にまわってきた。
キャッチボールをする小笠原
メジャーではレギュラーシーズン中の連投は、基本的に「2連投」までがスタンダード。球数やイニング数を年間で管理しながら、投手陣の負傷リスクを低くしたいからだ。
だからこそ、小笠原の3連投は異例&緊急事態。首脳陣が無事でいてくれればいい、と願うのはそれが理由だ。メジャー1年目は23試合(先発2試合)、38回2/3を投げ、1勝1敗、防御率6.98の成績が残った。
来季は2年契約の2年目。開幕メジャーを目指し、そして生き残りをかけるシーズンになる。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
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