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試合後、囲み取材で質問に答える大谷
勝利投手になった。実に749日ぶり。ドジャースの大谷翔平投手(31)は8月27日のレッズ戦に中6日で今季11度目の先発に臨んだ。
今季最長の5イニングで最多の87球を投げ、2安打1失点、今季最多の9三振の好投で2023年9月19日に受けた2度目の右肘手術から復帰後、初勝利を挙げた(1敗)。勝利を挙げるのは、エンゼルス在籍時の2023年8月6日のジャイアンツ戦以来だった。
「どちらかというと今は自分の状態を上げていくという(段階)。イニングを伸ばすのもそうですけど、リハビリ登板の段階から少しずつ球種を増やしていった中で、今日はカーブとスプリットをしっかりと投げ切るというのは一つ、自分の中の課題。相手がどうこうというよりは(己の課題として)持っていました」
週に1度の登板。テーマを決めてマウンドに上がっていた。
「リハビリの段階としてはまず第一は真っすぐ、ファストボール(ツーシームを含む速球系)をしっかりいい球速で投げ切るということが一番。ドクターとそういうコミュニケーションの中でやってきて、カーブやスプリットは一番最後の段階なので、これがしっかり投げ切れれば、自分の中でフルでいける自信がしっかり持てる」
試合前、外野フィールドでキャッチャーする大谷
2度目の先発だった6月22日のナショナルズ戦後。投手としての『決意』を明かしていた。
「徐々にイニングも増やしていければもとの状態以上に戻れるんじゃないかなという、そういう自信は出てきている」。元の状態にあえて「以上」をつけたことは、大谷がパワーピッチャーとしてマウンドに戻り、野球選手としてレベルアップする、という強い意思を感じた。
復帰直後は直球とツーシームを多く配球。その後は、横変化のスライダー(スイーパー)と縦に変化する縦スラを試投した。そして完成形態に向かう最終段階でスプリットとカーブを中心に組み立てた。
もちろん、まずは球数制限でチームを勝利に導く投球をする。その上で地区優勝争い、そしてプレーオフに向けて『仕上げ』に向かう。来季以降、二刀流を続けるために投手として完全復活「以上」の姿に進化する道筋はみえた。
「勝ち星はもちろん、打線との兼ね合いがあるので、あんまり気にしてもしょうがない部分もある。前回、前々回、5イニング投げきりたいなっていう中で、なかなか球数もかさんで、ヒットも打たれて、投げ切ることができなかったので、今日改めて最後に5回まで投げ切ったところが一番いい」
大切なのは、この先の投手人生を考えれば今は、あくまでリハビリの延長だということ。今季中は慎重に右肘の状態を判断しながら、登板を重ねる。749日ぶりの白星、そしてドジャースのユニホームを着て初めての勝利投手は、新たな大谷伝説の幕開けだ。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
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