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カージナルス戦前にキャッチボールをするダルビッシュ
今季初勝利、復帰後初勝利、日米通算歴代1位の204勝。パドレスのダルビッシュ有投手(38)の次の1勝には、それらすべてを含む白星となる。
だが、近いようで遠い。いや、実は遠いようで近いのかもしれない。7月24日のカージナルス戦では、3回1/3を投げ、8安打8失点で3敗目を喫していた。
「大事なところで強くない球が甘いところにいっちゃう。前回もそうだったんですけど。また、急に3イニング目によくなったり、アップダウンが激しかった。自分の今の実力」
3月中旬に発症した右肘の炎症で負傷者リスト(IL)入りして迎えた開幕。復帰して4登板目だった。負傷明けで中4日の登板だったことを考慮され、69球で交代。午後7時でも気温34度あった蒸し暑い気候が、球数以上の消耗を感じさせたのかもしれない。ただ、収穫もある。
「ブルペンはすごくよくて、1イニング目もいい感じで投げられていたんですけど、2イニング目の四球を出してから、1番にホームランを打たれたりとか」
反省の弁の中に「ブルペンはすごくよくて」と感触を明かした。少なくとも練習段階、ウオーミングアップのときには、手応えを感じていた。あとは、それが試合のマウンドで実行できるか、だ。
右肘への負担を考慮し、さらに中4日の調整が続くことで登板間の投球強度は落としている。もともと、ダルビッシュは、中4日や中5日の登板間でのブルペン投球は、ガチ投球だ。回転数や球速、変化量などのデータを1球ずつ確認しながら、試合に近い強度で投げている。
しかし、負傷後は再発のリスクを回避するように、ブルペンでの力の入れ具合は調整しているようだ。そのことが、細かなコントロールの修正をスローペースにしているのかもしれない。
ブルペンで準備するダルビッシュ
ただ、マイナー戦でのリハビリ先発をせずに復帰したことを考慮すれば、まだ調整段階といっていい。試合でのアドレナリン、緊張感、負荷で投げるのはまだ調子を上げている段階、とも捉えてもいいはずだ。
もちろん、ダルビッシュは今の状態で全力を尽くしている。本人もゆっくりと調整する、という気持ちはない。ただ、客観的にみれば本調子はまだこの先にある、という途中にいる。
「みなさん、すごく楽しみにされている方もいらっしゃるのでやっぱり、自分としてはすごく勝ちたい気持ちは強いんですけれども、それができていないので、ファンの方にもチームにも非常に申し訳ないと思っています」
1勝目と日米通算204勝の記録を期待する声は自然と届く。声援の大きさはダルビッシュが積み重ねてきた功績、203の白星へリスペクトがあるからこそ。完全復活のときは、近づいている。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
Instagram
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